Garuda Indonesia Colours Magazine March 2014 | Page 228

226 Archipelago: Seram | 群島:セラム島 視覚―見事な海 マルク諸島周辺の多くの海と同じように、 セラム島 は世界有数のダイビングスポットだ。島の西岸に は複数のダイビングオペレーターがおり、 サワイ湾 では素晴らしいシュノーケリング体験もできる。 「サイケデリック・フロッグフィッシュ」 や鮮やかな ブルーのヒトデといったエキゾチックな生物だけ でなく、 さらに運が良ければ巨大なウミガメに出会 えることもある。 ぶのが見え、林冠に響き渡るセミの甲高い 鳴き声に包まれた。 私達は近隣のアンボン島からフェリーに乗 くと、運転手が湾を見渡せる断崖のそばに の歩道を渡って中に入ることができる。 バル まりの美しさに衝撃を受け、私は思わず笑 い出してしまった。 サワイ湾には穏やかな海面が弓なりに曲が って広がり、海岸に沿ってそびえ立つ壮大 な山々に囲まれている。 その大きさは、人間 の頭では理解できないほどだ。断崖の上か ら見ると、私達の宿となる小屋が豆粒ほど り状態にできる贅沢を味わうことができる。存分 に日光浴したり、信じられないほど透明なターコ イズブルーの海に入ったりと、 パラダイスの本当の 意味を実感できる場所だ。 と、想像し得る最も手付かずで美しい海の 上に浮かんでいるような気分になる。海水 は水晶のように澄み切っていて、 リゾートの どこにいても足元に目を向ければさまざま な種類のサンゴ礁や熱帯魚を見ることがで きる。部屋はシンプルだが居心地が良く、 ス タッフも素晴らしく親切だ。 うに見える。 行ができるのだ。私達は七島(実際は6つの 埠頭に車を止めると、 ぼさぼさの髪に満面 傾いたココナッツの木、 そしてそのすべてを貸し切 コニーのデッキチェアに寝そべっている 滞在中ずっと座ってこの景色を見つめてい 私達はサルマンという村へ下りていった。 無人島で、 やわらかくサラサラした白い砂と大きく ない。水面上に建つ高床式の小屋で、木製 に小さく見え、石灰岩とクリアブルーの海 水がぶつかり合うビーチは光り輝く紐のよ 浜に寝転んだときの気分は格別だ。 ここは完璧な はということだけだ。 オラ・ビーチ・リゾートには小屋が7つしか 車を停めてくれた。 そこから見える景色のあ サワイ湾からボートに乗って七島の1つに渡り、砂 るのは、 自分がここを離れたくなくなるので り、 セラム島の中心地であるマソヒで降りて 島の北部へと向かった。北部の海岸に近付 触覚―パラダイス をはるかに遡る雰囲気だ―唯一心配にな の笑顔の子供達が温かく迎えてくれ、私達 は荷物を細長いボートに積み込んで湾か ら5分離れたリゾートへと向かった。私は ここまでの道のりを思い返していた―ジャ ワからアンボンまで飛行機で飛び、港まで 1時間タクシーに乗り、 マソヒまで2時間 フェリーに乗り、 さらに1時間半車に乗っ てセラムの中心へとたどり着いたのだ。 ボ ートが舟橋に着くと、 これだけ時間をかけ たいほどだったが、 ここからたくさんの小旅 島しかないが、100年ほど前に島が1つ 沈んでからも名前が変えられていない) から スタートした。 まるでオラ・ビーチではまだ足 りないとでも言うように、 さらに人里から離 れた、 セラム海沖に1時間ほど出たところに ある島だ。 これらは完全に無人の島であ る。見事な白砂のビーチが広がり、 ターコイ ズブルーの海からヤシの木が突き出してい る。 これこそまさに、完璧な無人島のイメー ジだ。 そして驚くべきことに、 この場所を本当 に自分達だけで満喫できるのだ。 てやって来た甲斐があったと実感した。 こ 島から少し離れたところで、私達は非の打ち ない―テレビもインターネットもなく、文明 楽しんだ。 ここは有名なダイビングスポット れ以上に人里離れた浜辺の楽園は存在し どころのない海に潜ってシュノーケリングを