ドイツの実情 2015 | Page 88
環 境 、気 候 、エ ネ ル ギ ー シ フ ト
ることである。大 規模な商工業において
は、すでに大幅な省エネが達 成されてお
り、水準は高い。小規模な企業や公的業
務用地においては、依 然として遅れを取
り戻す必要がある。特に古い建 造物のエ
ネルギー面での近代化は、エネルギー効
率の向上にとって重 要であり、これに対
しては連邦政 府が助成を行っている。二
酸化 炭 素排出量のおよそ40%は建 造 物
分野から発 生しているのである。電力消
費も、2007年以 降 やや 後 退していると
はいえ、引き続き低下している。エネル
ギー構想の元来の目標である2020年ま
での10%削減に向けては、引き続き努力
が必要である。
エネルギーシフトが目指しているのはリ
スクの低 減だけではなく、気候と折り合
い をつけな がら供 給 の 安 定を図ること
でもある。再生可能エネルギーのダイナ
ミックな拡 充により、電 源構成における
二 酸 化 炭 素を排 出しないエネル ギーの
割合を大幅に増加させることができた。
環 境に優しい電力は、2014 年の総 電力
生 産の26%を占め、2015年上半 期の総
グラフ
電力生産
再生可能エネルギー
による電力生産は、
2014年にはあらため
て増加し、
ドイツにお
ける総電力生産の
26%に達した。
電 力消費 量に占める割 合は32.5%であ
った。晴れた平日には、太陽 光 発電は電
力 需 要 の 最 大 2 5% を占 め ること が あ
る。日曜日や祝日には、それどころか50
%に達することもある。すべての新築 住
居 の3 8 .7%は 、す でに再生可 能 エネル
ギーによる暖 房を備えている。2015年
初 頭には 、定 格 出力が 約38.5ギガワッ
トの150万の太 陽 光 発電 装置 が 設 置さ
れている。設 置出力では 、ドイツは中国
とアメリカ合 衆国に次いで世界第3位で
ある。
世界の手本となる再生可能エネルギー法
再生可能エネルギー法(EEG)は、大きな
成 果をあげ、多くの国々で手本とされる
促進法である。この法律は2014年に改正
された。改正の狙いは、市民と経済にとっ
ての負担を減らし、供給の安定性を保証
することである。背景は、環境に優しい電
力の拡 充によって増加するコストを消費
者が負担するいわゆるEEG分担金が、太
陽 光 発電 施 設の大 幅な拡 充と計算方法
の変更により、2009年以降、大幅に上昇
総電力生産(2014年)
26 %
9 % 風力
褐炭
4
%
その他
10 %
天然ガス
16
%
原子力エネルギー
18 %
石炭
26 %
再生可能エ
ネルギー
7 % バイオマス
6 % 太陽光
3 % 水力
1 % 家庭廃棄物
出典: Statistisches Bundesamt
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