ドイツの実情 2015 | Page 80
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環 境 、気 候 、エ ネ ル ギ ー シ フ ト
環境、気候、
エネルギーシフト
温暖化防止政策の旗手 ∙ 温暖化防止に向けた国際協力の推進 ∙ エネルギーシフト:世代
を超えたプロジェクト ∙ 未来の産業:グリーンテクノロジー ∙ 持続可能な風力発電
∙ 多様性:生命にとって大切なもの
展望
温暖化防止政策の旗手
21世紀は「環 境の世紀」とされる。これ
は、地球上の未来の世代の自然的生存条
件がどの程度まで変化するかが次の100
年の間で決まる、ということを意味する。
特に懸念されるのは、加速する温暖化で
ある。環 境保護と温暖 化防止には、ドイ
ツでは以前から高い価値を置いてきた。
ドイツは国際的に温暖化防止の旗手であ
り、再生可能エネルギー拡充のパイオニア
である。
エネルギー産業の構造転換は、エネルギ
ーシフトと呼ばれる。ドイツは化石エネル
ギーと原子力エネルギーの時代から、新
しい持続可能な未来のエネルギー時代へ
の途 上にある。2022年に向けた原子力
発電 からの段 階 的 撤 退 もその 一 環であ
る。さらに、2020年までに、ドイツは 二
酸 化 炭 素 の 排 出を対199 0 年比 で4 0 %
、2050年までには少なくとも80%削減す
ることを目指してい る。2014 年 末には
27%の削減を達成している。
グローバルな枠組みにおいても、ドイツ
政 府は、環 境保護や、エネルギー問題に
関する国際協力や、温暖化に悪影響を及
ぼさない開発に向けて積極的に取り組ん
でいる。ドイツが牽引力となっている欧州
連合は、1992年のリオデジャネイロ国連
地 球サミット以後、国際的な温暖化防止
政策を先導しており、地球温暖化を最大
でも摂 氏プラス2度に抑える目標を支 持
している。そのためには、先進工業国の二
酸化炭素の排出を80%から95%削減しな
ければならない。2015年、ドイツが議長
国を務めたG7サミットでは、先進工業国