ドイツの実情 2015 | Page 80

78 | 79 環 境 、気 候 、エ ネ ル ギ ー シ フ ト 環境、気候、 エネルギーシフト 温暖化防止政策の旗手 ∙ 温暖化防止に向けた国際協力の推進 ∙ エネルギーシフト:世代 を超えたプロジェクト ∙ 未来の産業:グリーンテクノロジー ∙ 持続可能な風力発電 ∙ 多様性:生命にとって大切なもの 展望 温暖化防止政策の旗手 21世紀は「環 境の世紀」とされる。これ は、地球上の未来の世代の自然的生存条 件がどの程度まで変化するかが次の100 年の間で決まる、ということを意味する。 特に懸念されるのは、加速する温暖化で ある。環 境保護と温暖 化防止には、ドイ ツでは以前から高い価値を置いてきた。 ドイツは国際的に温暖化防止の旗手であ り、再生可能エネルギー拡充のパイオニア である。 エネルギー産業の構造転換は、エネルギ ーシフトと呼ばれる。ドイツは化石エネル ギーと原子力エネルギーの時代から、新 しい持続可能な未来のエネルギー時代へ の途 上にある。2022年に向けた原子力 発電 からの段 階 的 撤 退 もその 一 環であ る。さらに、2020年までに、ドイツは 二 酸 化 炭 素 の 排 出を対199 0 年比 で4 0 % 、2050年までには少なくとも80%削減す ることを目指してい る。2014 年 末には 27%の削減を達成している。 グローバルな枠組みにおいても、ドイツ 政 府は、環 境保護や、エネルギー問題に 関する国際協力や、温暖化に悪影響を及 ぼさない開発に向けて積極的に取り組ん でいる。ドイツが牽引力となっている欧州 連合は、1992年のリオデジャネイロ国連 地 球サミット以後、国際的な温暖化防止 政策を先導しており、地球温暖化を最大 でも摂 氏プラス2度に抑える目標を支 持 している。そのためには、先進工業国の二 酸化炭素の排出を80%から95%削減しな ければならない。2015年、ドイツが議長 国を務めたG7サミットでは、先進工業国