Spanish ACAMS Today (Septiembre-Noviembre 2012) Vol. 11 No. 4 | Page 51
日本展望
前文
2012年2月8日に公表された米国の外
国口座税務コンプライアンス法
(以下、
「FATCA」
という)
の規則案に対するコ
メントレターが各国の業界団体より提出
されました。
コメントレターに記載された
IRSへの制度設計に対する要望事項や
各論の明確化の要望を鑑みれば、
個々
の金融機関は、
現時点でFATCA対応を
開始するこ
とに躊躇するかもしれません。
また規則案と同時に公表された欧州5か
国と米国の共同声明や一部報道機関か
ら報道された日本政府案にタイムライン
が明示されていないため、
政府間協定が
FATCA施行前に決着するのか不明瞭で
す。
しかし、
全銀協のコメントレターに
「大
きな第一歩」
と記される通り、
これらの政
府間協定が実現すればFATCAを遵守す
るうえでの法務上の制約の多くは取り除
かれると思われます。
特に源泉徴収の撤
廃、
非協力口座に対する口座閉鎖の撤廃
が実現することにより、
非現実的だった
FATCA対応を現実の問題と て捉えるこ
し
とができる
と考えられます。
本稿では、
今金融機関は何をすべきかと
いう問いに対する回答として、
①FATCA
対応すべきエンテ テ
ィ ィの特定、
②口座特
定
(既存 新規)③報告、
・
、
④源泉徴収、
と
4つに分類されるFATCA対応のうち、
現
時点で対応を開始するこ
とが可能な②口
座特定
(既存 新規)
・
に絞ってその対応方
法に関するエッセンスを提供します。
性があることが知られていました。
今般
り、
FATCAにおいて名寄せすべき対象の
の規則案は、
AML/KYC手続
(日本にお
口座は外貨預金等のペイオフ対象外の
いては犯収法)
との関連を示しており、
実
取引も含むため、
同一顧客番号の顧客に
務の負担を最小限にするための配慮が
関して必ずしも名寄せが実施できる態勢
あるようにも見えます。
しかし、
規則案は
にはないかもしれません。
そこで、
同一顧
FATF遵守国において要求されるAML/
客番号の顧客に関し
て名寄せを実施する
KYC手続への依拠を原則と
しつつ、
一方
ための追加的な措置を確認する必要が
で本人確認手続に関する詳細なルール
あります。
(例えば、
入手すべき書面の例)
を定め
ることで、
FATCA用の本人確認手続を
AML/KYC手続に追加するこ
とを実質的
に要求しているように読み取れます。
本件
に関して、
全銀協はコメントレターにおい
て、
AML/KYC手続への依拠で足りる、
つ
まりFATCA用の本人確認手続をAML/
KYC手続に追加する必要がないことの
確認および明確化を要望し
ています。
そこ
で、
新規口座開設手続に関するFATCA
対応を進めるに当たり、
コメントレターに
記載されている6つの事項
(①本人確認
資料の種類と範囲、
②本人確認書類の
有効期限と再確認、
③本人確認のタイ
ミ
ング、
④本人確認の対象となる取引、
⑤本
人確認資料コピーの保管義務、
⑥実質
的米国保有者確認基準)
に関して、
改正
犯収法とFATCAの違いを認識し、
改正
犯収法に沿って対応したうえで、
今後の
動向を注視する必要があります。
名寄せ実施可能範囲の特定
口座特定手続において、
一定の閾値を用
いる前提として、
口座保有者ごとの名寄
既存個人口座の米国示唆情報に
関する電子検索の実施方法
規則案は、
個人口座の特定において、
デ
ータベース
(以下、DB」
「
という)
の中に米
国人であることを示唆する情報
(以下、
「
米国示唆情報」
という)
を一定の抽出要
件に沿って検索することを要求していま
す。
しかし、
現状の本人確認手続、
それに
伴うデータ入力およびDBの保持の状態
より、 つかの要件に関しては、
いく
検索を
実施するまでもなく、
要件に該当する抽出
結果がゼロという場合もあると思われま
す。
その場合、
検索を実施せず、
要件に該
当する抽出結果がゼロであることを証明
する書面を残すという方法があります。
一
方、
そのよ
うな証明を行うための書面を残
すほうがむしろ煩雑である場合、
検索条
件を整えて、
実際に検索を実施し、
その結
果
(つまり抽出結果ゼロ)
を残すほうが簡
便かも
しれません。
一定の抽出要件のうち、
スタンディング
・
インス ラクション
ト
(定期的な資金移動指
図契約)
は注意が必要です。
定期的な資
せが必要になります。
規則案に
「顧客番号
金移動指図契約のデータを検索できる
やTIN等を通じてコンピューターシステム
のか、
過去の送金データから検索するの
上名寄せできる範囲で許容する」
とある
か、
口座と紐つけられるのか、
いずれも銀
新規口座開設手続 - 改正犯
罪収益移転防止法
(以下、 改正
「
犯収法」