ドイツの実情 2015 | Page 68
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経 済 と イ ノ ベ ー ショ ン
テーマ
リーディングマーケットとイノベーション
ドイツの経 済 的な強さは、何といっても
製 造 業の力強さとそのイノベーション力
に基づく。特に775,000人が働く自動車
産業は、
「メード・イン・ジャーマニー」の
主 要 部 門 であ る 。ドイツの自 動 車 産 業
は、6つの有力なブランド、すなわちフォ
ルクスワーゲン、BMW、ダイムラー、フォ
ルクスワーゲン・ブランドのアウディとポ
ルシェ、それにオペル(ゼネラルモーター
ズ)を抱え、世界の自動車業 界の牽引す
る勢力の一画を占める。こうした競 争力
を 確 保 す る た め 、企 業 は 研 究・開 発
(R&D)に多額の投 資を行っている。電
子ネットワーク、デジタルネットワーク、ド
ライブアシスト、それに自動運転などが、
不断の前進を続ける自動車産業界のメガ
トレンドである。
世界的に見て、ドイツの自動車コンツェル
ンは、2014年にはおよそ1,490万代の乗
用車を生産した。上位の中級車や高級車
の割合が 高い。ドイツの自動車産業の輸
出率は77%を超えている。
伝 統 的に強い経 済 部門として、ドイツで
は自動車産業のほか、設備・機械産業や
化 学産 業が 挙げられる。ルートヴィヒス
ハーフェンに 本 社を置く1865 年 創 業 の
BASFは、80カ国以上の390の生産拠点
に113,000人の従業員を抱える世界最大
の化 学コンツェルンである。主要 産 業と
してはさらに、電気・電子産業がある。な
かでもシーメンスは、190カ国で活動する
グローバルプレーヤーであり、医 薬 技 術
から再生可能エネルギーにいたるその実
践的ソリューションはきわめて革新的と
目されている。こうした主 要部門が世界
市場に占める重要性は、輸出率が60%を
超えるという事実が示している。
ドイツ国内の重要な経済センターとして
は、ルール地方、ミュンヘンおよびシュト
ゥットガルト圏(ハイテク、自動車産業)、
ライン=ネッカー地方(化学、IT)、フラン
クフルト・アム・マイン(金融)、ケルンおよ
びハンブルク(港、空港、メディア)が挙げ
られる。東部の新連邦州では、特にドレス
デン、イェーナ、ライプツィヒ、ロイナ、およ
びベルリン=ブランデンブルクの「灯台地
域 」に、小規模ではあるが 優 秀なハイテ
クセンターが形成されている。ドイツの大
企業のリストを挙げれば以下の通りであり
(2014年の売上高による)、自動車コン
ツェルンが目立つ:フォルクスワーゲンが
第1位、続いてダイムラーとBMWが第2位
と第4位、エーオン(エネルギー)が 第3