ドイツの実情 2015 | Page 34
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国 家 、政 治 、時 代 史
テーマ
さまざまな形の社会参加
ドイツ連邦共和国の政治システムにおい
て、政党には中心的で特権的な地位が与
えられている。
「政 党は国民の政 治的意
思形成に寄与する」と基本法の第21条は
定めている。これには、政党の内部秩序が
民主主義の諸原則に適合していなければ
ならないとする義務がともなう。すなわち
党首、委員会、候補者は、党ベースの代表
者による党大会で、秘密投票によって選ば
れる。政党内民主主義を強化するため、
諸政党は近年、重要な決定に際して党員
の意見を直接きくようになった。2013年
の 連 立 協 定 に 関 する S P D の 党 員 投 票
は、CDU/CSUとの連立政権を樹立する
にあたって、決定的であった。政党は、根
幹においては依 然として社会のあり方を
表現するものであるが、結束力は失ってい
る。CDU/CSUとSPDの背 後に控える党
員はおよそ100万人、6,200万人近い有権
若い人々にとっては、市民社会におけるさ
まざまなグループや非政 府組織を通して
社会参加する方がいっそう魅力的である
ことも多い。ソーシャルメディアも、政治的
意志表示や政治的活動のためのプラット
フォームとしての意義を獲得している。住
民投票などの直接民主主義的な措置を通
しても、市民は政治プロセスに参加する。
州や自治体では、近年、直接民主主義の
さまざまな可能性がますます実践され、
市民に利用されるようになっている。
低下傾向:連邦議会選挙の投票率
国民の声
ドイツの選挙制度は、わずかに修正を
加えた「人的要素を加味した比例代表
制」である。
どの有権者も2票をもち、
第1票は選挙区における政党の候補者
に、第2票は政党の州名簿に投票する。
連邦議会の議席数の基礎となるのは
第2票である。
78.5
1949
91.1
1972
89.1
1983
77.8
77.7
1990
2005
71.5
2013
出典: Statistisches Bundesamt
グラフ
者の中では、これは1.7%に過ぎない。投
票率も低下する傾向にある。連邦議会選
挙の場合、1970年代と1980年代の投票
率は一貫して高く、最高投票 率が記録さ
れたのもこの時期であったが(1972年に
91.1%)、2009年と2013年の投票率は
それぞれ70.8%と71.5%であった。