The Doppler Quarterly (日本語) 秋 2016 | Page 3

ドップラー効果 「転換点」という言葉をご存じでしょうか。転 換点とは、何かを行う際、それ以上になると手 に負えなくなるほどの状態に達する分岐点の ことを指します。クラウドコンピューティングの 世界は、まさにこの転換点にあります。 では、クラウドの転換点の定義とは何でしょう か。クラウドの転換点とは、クラウドサービス、 ワークロード、およびデータセットの数が多く なりすぎて、手動での管理が困難になってい る状態を指します。 転換点については多くの議論があります。ほと んどの場合、 100 ∼ 500 個のクラウドアプリ ケーション、クラウドサービス、またはデータ セットがクラウドに存在する状態が転換点で あるとされています。このような転換点につい ては、事前に把握しておく必要があります。 転換点に備えるための準備とは、まだ自動化 されていないことを自動化し、厳格なガバナン スサービスおよびコンプライアンスサービスを 確立することを意味します。では、この背景に ある論理とはどのようなものでしょうか。 セキュリティの強化 クラウドのセキュリティ侵害は毎週のように発 生しており、国内のニュースで目にすることも 多くあります。幸いなことに、適切なガバナン スおよびコンプライアンス戦略をとれば、セ キュリティを強化し、リスクを低減できます。 意志決定の効率化 恒久的な意志決定 / 管理組織が欠如してい ると、大規模なクラウドを導入するために必要 とされる意志決定にかかる時間に大幅な遅 れが生じます。 マルチクラウドの簡素化 ほとんどの企業はマルチクラウド環境の展開 を積極的に進めていますが、その成功の程度 はさまざまです ( マルチクラウドへの最善のア プローチ方法に関する推奨事項については、 76 ページを参照 )。複雑性が増大すると、マ ルチクラウド環境におけるガバナンスおよび 管理は極めて重要なものとなります。 クラウドの優れた経済性 今日の企業では、クラウド環境に関する経済 的評価基準のためのエンドツーエンドの可視 性が欠如しています。企業はデータセンター の現在のコストを、予想されるクラウドのコス ト削減と比較する能力を十分に備えていませ ん。そのため、過去の傾向を分析して、将来的 なコスト削減のための比較や予測を行うとい うことができません。 リアルタイムなコンプライアンス監視 クラウドにおける継続的なコンプライアンスの 管理は途方もない作業です。ほとんどの企業 では、規制コンプライアンスおよび企業コンプ ライアンス上の体制についての全体論的視点 が欠如しています。さらに、今日のコンプライ アンスプロセスおよびコンプライアンスツール はデータセンター向けに設計されているため、 クラウド環境の急速な進化に対応し続けるこ とができません。 56 ページでは、これらの考慮事項について掘 り下げて考察しています。また、転換点を超え た後に企業が成長するうえで、新しいマネージ ドサービスソリューションがどのように役立つ のかについても検討しています。 今すぐにでも、転換点に備えた準備を行うべ きです。これは、クラウドコンピューティングソ リューション内にツールを配置し、自動化を 行って、クラウドサービスのセキュリティ、コン プライアンス、および管理を確実に実現する ことにより、規模の拡張を可能にすることを意 味します。 転換点が来年であることが判明した場合は、 当社にぜひお問い合わせください。当社が転 換点からの成長を必ず実現します。 Cloud Technology Partners、 SVP David Linthicum 2016 年秋号 | THE DOPPLER | 1