The Doppler Quarterly (日本語) 秋 2016 | Page 11
金融サービス (FS) 業界にリスクを避け
ようとする考え方があることは、よく知
られています。セキュリティ侵害や規制
上の複 雑な制限についての懸念が常
にあるため、この業界は新しいテクノロ
ジーの導入に対して積極的ではなく、デ
ジタルの世界において進化し続けてい
る革新的な飛躍に後れを取っています。
しかし、高い競争力を維持するために
組織が奮闘する中で、この状況がつい
ました。同社は CTP と連携して概念実
証 (POC) を実施することにより、自社
のニーズを満たすために、 AWS が期待
どおりのメリットを提供できるかどうか
確認しました。POC の成果は、議論す
る余地のないものでした。Natixis は、
いくつかのサンプルアプリケーションを
実行して、その速度や、セントラル IT で
の待機を生じることなく変更を行う追
加機能を認識しました。それにより、市
に変わり始めています。 場投入への時間短縮、アジリティ、およ
枠組みの変化 がる価値があることも即座に理解しまし
昨年、金融サービス業界でのクラウド導
入における AWS の広告塔である Cap-
びターンアラウンドタイムの向上につな
た。
規範的アプローチ
ital One は、
「AWS re:Invent 2015」
で
自社のクラウド推進に関するプレゼン 初期の POC に引き続き、 Natixis は本
テーションを行いました。その結果、同 番ワークロードの全面的な移行に着手
業各社もクラウド導入の検討を始めてい しました。その際、 Natixis は CTP と協
ます。 力して、クラウドのネットワーキング、セ
IT のコンシューマライゼーションに向け
た大きな変化だけではなく、企業間で
のパブリッククラウド導入の拡大をきっ
かけとして、金融サービス企業は、 IT 運
用への従来のアプローチについて再考
しています。かつてデータセンターの維
持に割り当てられていた金融サービス
企業の IT 予算の大部分は、今ではイノ
ベーションに重点が置かれるように変わ
りつつあり、ビジネスアジリティの向上
を目標として割り当て直され、顧客に価
値を提供しています。
業界の先駆者
Natixis Global Asset Management
は、世界最大の資産管理会社の 1 つで
す。増えつつある数多くの金融サービス
先駆者の中で、従来の IT 運用を変革
することにより、ビジネスアジリティの
向上、コストの効率化、およびビジネス
ニーズと IT 機能の整合性強化を実現し
ています。
2015 年の初め、 Natixis はデータセン
ターを移行するプロセスの最中にあり、
可能性のある選択肢としてパブリック
クラウドについて評価しようと考えてい
キュリティ、および運用管理のすべての
要素が AWS 上で満たされることを確認
しました。CTP のクラウド導入プログラ
ム (CAP) に従い、チームは6か月のコー
スで緊密に作業しました。それにより、
総所有コスト (TCO) 評価の実施、すべ
ての法的要件および技術的要件の特
定、必要なアカウント構造の策定、ネッ
トワーク接続の確立、実用最小限のク
ラウド (MVC) の構築、監視および運用
上の懸念事項への対処を実現しました。
彼らは、複数の AWS サービス (VPC、
EC2、 S3、 Gl acier、 C loudWatch、
SQS、 CloudTrail を含む ) を最大限に
活用するものとなる本番環境を確立す
る前に、これらすべてを行いました。
CTP は Natixis の セ キュリティ/ 法
務 / コンプライアンス担当者と連携し
て、 AWS 本 番 環 境へのアクセスが 適
切に保護されていること、適切なデー
タガバナンス機構が配備されているこ
と、さらには、規制要 件を満たすため
にアクティビティの完全なトレーサビリ
ティが実現されていることを確認しまし
た。CloudTrail、 CloudWatch、 VPC
Flowlogs などの AWS サービスや、 VPC
セキュリティグループ/ACL、およびその
他のサードパーティセキュリティ/ 検査
2016 年秋号 | THE DOPPLER | 9