The Doppler Quarterly (日本語) 春 2017 | Page 23
この記事は、全社的な分析インフラストラクチャのモダナイゼーション戦略において上
級幹部や CXO が考察する必要のある、戦略に関する留意事項やきわめて重要な技術
の詳細を取り上げる連載シリーズの第 1 弾です。Cloud Technology Partners は、パー
トナーとして複数のお客様のモダナイゼーションをサポートする中で収集した見解や有
益な情報を共有しています。
この記事は大規模なデータウェアハウスに焦点を当て、
企業のデータウェアハウスの現状、モダナイゼーション
の障壁、モダナイゼーションの事例、データウェアハウ
スモダナイゼーションへのアプローチに着目した戦略的
な検討事項について解説します。
手足を伸ばす長生きのタコ
Fortune 500 企業に足を踏み入れ、会計報告書、ビジネスインテリジェンスの OLAP スライ
スとダイス、 CXO 向けの高度な分析とダッシュボードなどを支える分析インフラストラクチャ
を調査したとしたら、その中心が騒音とともに攪拌されている巨大で古めかしいデータウェ
アハウスを発見する可能性がきわめて高いでしょう。そのレガシーデータウェアハウスは、長
年生き延びたタコのように、企業のすみずみにまで手足を伸ばし、さまざまに形を変えながら
データを にしたり吹き出したりしています。多くの企業が、毎年何百万ものライセンス料を
支払い、何百もの ETL 開発者、 DBA、レポーターを雇い、入出力されるすべてのデータや、全
社のビジネスチームがむさぼり読む何千もの静的レポートと動的レポートのサポート、維持、
変更を行っています。
その巨額を繰り返し投資した恩恵を受けることになっているビジネスユーザーと会話したと
すれば、 IT 組織に依存していることへの大きな不満について彼らが率直に語るにつれ、間違
いなく有用性、パフォーマンス、商品化までの時間についての問題を延々と聞くことになるで
しょう。
ではなぜ企業は、このきわめて高額で、動きが悪く、咳き込んだり息を切らす、明らかに役目
を終えたようなデータウェアハウスをいまだに維持しているのでしょうか。
モダナイゼーションを阻む障壁
データウェアハウスでのこのような状況の継続を主に助長している 3 つの強力な要因があり
ます。
イベント定義の欠如
一人ひとりの不満の声が 1 つにまとまり、手に負えないタコと化しているレガシーシステムの
大変革を企業に考えさせるほど力を持つようになるのはまれです。私たちの経験で言うと、中
心となるテクノロジーのエンタープライズライセンスの更新や調整、またはさしせまったサポー
ト終了などでイベント定義が行われない場合、データウェアハウスのモダナイゼーションが進
められることはめったにありません。しかしこうした状況でも、財務について説得力のある主
2017 年春号 | THE DOPPLER | 21