The Doppler Quarterly (日本語) 春 2017 | Page 20
データ移行の方法を特定
ターゲットとなるクラウドプラットフォームとデータベースを選択したら、データ移行の方法を
選択する必要があります。この選択への最も重要な質問は、
「カットオーバー時のダウンタイ
ムの長さはどれくらいか」
ということです。これについては、クラウドベンダーとサードパーティ
の両方が、活用できるソリューションを可用性に応じて提供しています。
• 低度のダウンタイム耐性 - Attunity のようなベンダーが提供するツールでは、複数の
データベースの同期を維持しながらデータレプリケーションを促進でき、最小のダウンタ
イムが常に求められる環境で短期間のアプリケーションカットオーバーが可能です。
• 中度のダウンタイム耐性 - 耐性がやや高い環境では、クラウドプラットフォームベン
ダーが独自のツールを提供してスキーマ変換とデータ移行の両方を促進できるようにし
ています。AWS は Database Migration Service を、 Microsoft は Assessment and
Planning Toolkit と SQL Server Migration Assistant を提供しています。
• 高度のダウンタイム耐性 - AWS が提供する Snowball を使用すると、高レイテンシが
許容される環境で、企業のアップストリームの帯域幅をきわめて大量に消費する大容量
データをスムーズに転送させることができます。
リハーサル
多数の業務システムで高レベルの可用性が要件となっている場合、カットオーバーは容易で
はありません。とりわけデータベースが多くのソースから入力を受け付け、データを外部にエ
クスポートしているような複雑な環境では、移行を成功させるためにテストが重要になりま
す。本番移行に先立ってリハーサルを実施することで、スタッフがチェックリストとスキルの妥
当性を確認できます。さらに重要なのは、移行が失敗した場合のロールバック手順をテストで
きることです。こうしたリハーサルにより、カットオーバーに向けて一斉に実行しなければなら
ないアプリケーション、インフラストラクチャ、セキュリティ、データベースオペレーションなど
のさまざまな局面で、チーム全体が落ち着いて移行に取り組めるようになります。
リハーサルは一度きりのイベントではありません。少なくとも、移行するアプリケーションと
データベースごとに 1 回は実施すべきですが、適切なプロセスとロールバック手順を確立する
ために適度な回数で実施します。
アプリケーションの移行
データベースの最終カットオーバーは、全工程で最も重圧のかかる期間です。ビジネスへの
影響を抑えられる時間に実施します。また、新しい環境を適切にテストした後にビジネスユー
ザーがシステムの利用を開始できるように十分に時間を設けます。
支援体制を整備し、開発者、 DBA、ビジネスユーザーからの連絡を受け付けるようにします。
こうした人たちが、構成ミスを特定したり、新しいプラットフォームのオペレーション支援を依
頼したりする可能性があるからです。
18 | THE DOPPLER | 2017 年春号