The Doppler Quarterly (日本語) 春 2017 | Page 18
移行の理由を特定
データベース移行のプロジェクトを開始するときには、企業にとっての移行の主要な理由とそ
の優先順位を特定することが重要です。これにより、企業は、後のフェーズで、ターゲットクラ
ウドプラットフォーム、ターゲットデータベース、移行を促進するのに必要なツールなどの選
択方法について、共通の言葉で対話できるようになります。企業が代替データベースへの移
行に目を向ける最も一般的な理由は次のとおりです。
• コスト節減 - いずれの IT 組織とも同様に、予算の縮小が続くとコスト節減が重要になり
ます。ライセンスとサポート契約にかかる多額の費用が評価の対象になることがよくあり
ます。Oracle データベースの廃止は、移行費用を考慮しても大企業に数百万ドルの節減
をもたらします。
• ベンダーロックインの回避 - 今日の新しいアプリケーションの多くは、ベンダーの方向
転換や市場への新規参入があると、データベースやその他のコンポーネントのリプレース
を容易にするツールと設計方法を使用して展開されます。
• クラウドファーストの考え方の採用 - 企業が、きわめて資本集約的な IT 資産の廃止
に目を向けるにつれ、クラウドファーストの考え方が採用され、コスト効率が高く柔軟な
プラットフォームへのワークロードの移行が進みます。
• アプリケーションチームのアジリティ - アプリケーションチームは、テスト環境の展開
と本番環境への更新を長期のリードタイムなしに短期間で行える高い柔軟性を引き続き
求められます。
こうしたタイプの複雑で人が絡む、 IT インフラストラクチャへの変更に対しては、必然的に企
業全体で反対意見が生じます。ビジネスユーザーにとって企業が機能的に同等であることに
重点を置き、ソース環境にある機能をターゲット環境の機能にマッピングすることは避け
ます。
ターゲットとなるアプリケーションを特定
新しいデータベースプラットフォームに移行するターゲットアプリケーションを特定するときに
重要なのは、以前特定した目標、およびビジネスオペレーションへの移行に関するリスクに対
して、移行で得られる恩恵を評価することです。図 2 で、 Oracle から代替データベースへの
移行時に考慮する、共通の設計パターン、およびアプリケーションの各カテゴリに関連するリ
スクを示します。
移行するターゲットアプリケーションを特定するその他の要素は、移行に複雑さを伴い、移
行プロセスにおいて改修を要する可能性のある、現行の設計パターンと機能を特定すること
です。これは、複雑な環境では多くの要素にわたります。明確にすべき最も一般的な要素は
次のとおりです。
• データベースでのビジネスロジック - トリガーとストアドプロシージャのようにデータ
ベースレイヤーでビジネスロジックを維持するのは多くの企業で一般的です。低リスクの
移行と長期のアプリケーションアーキテクチャーの向上を促進するには、このロジックを
アプリケーション層に移動すべきです。
• データベースレプリケーション - クラウドでは、オンプレミスでのデータ保護の方法と
は構造的に異なるさまざまな新しい方法でデータ整合性とサービス可用性を実現できま
す。クラウド移行を進める企業は、データ保護の方法を確認し、プロセスとツールの両方
を修正して、クラウドに展開されたアプリケーションで適切なレベルの可用性を確保する
必要があります。
16 | THE DOPPLER | 2017 年春号