The Doppler Quarterly (日本語) 春 2017 | Página 12
ハイブリッドクラウドを管理する
5つの基本事項
David Linthicum
ハイブリッドクラウド管理は科学とい
うより芸術です。しかも、その複雑さ
は徐々に拡大していくようです。これ
は、ハイブリッドクラウド管理へのア
プローチにも進化が必要なことを意
味します。
クラウドコンピューティングを利用するなら、環境の一部として
何らかのハイブリッドクラウドを活用する可能性が高くなりま
す。最近まで、ハイブリッドと言えば、 OpenStack と Amazon
Web Services など、プライベートクラウドとパブリッククラウド
の組み合わせを指しました。今日では、
「ハイブリッド」
という用
語は一般的に、 1 つ以上のパブリッククラウド、 (2 つ以上のパブ
リッククラウドのインターフェイスとなる ) 1 つのプライベートク
ラウド、またはそれらを組み合わせた、レガシーつまり従来型
のシステムを意味します。
世の中は急速に複雑さを増しています。企業は、セキュリティ、
ガバナンス、管理への最適なアプローチを探す中で、
1 つのアプ
ローチまたはツールのみではすべての問題を解決できないこと
に気がつき始めています。そのため、企業の IT ショップが 1 つ
または複数のハイブリッドクラウドを持つ可能性がある場合、
企業ではその管理にどのように取り組むべきでしょうか。
最初のステップは、基本を理解することです。基本を定義する
目的は、単に今後利用するツールとテクノロジーを選別するこ
とではありません。ほとんどの IT 運用管理者はハイブリッドク
ラウド管理を簡単にするツール固有の要件を理解せず、そうし
たツールへの着目点を間違っています。つまりアプローチとツー
ル選択の両方を誤って解釈しています。ハイブリッドクラウド
管理のアプローチに影響を与える、セキュリティ、データ、ガバ
10 | THE DOPPLER | 2017 年春号
ナンス、エンドユーザーダイナミクスを理解する必要があり
ます。
ハイブリッドクラウド管理プラットフォームに着手する前に理解
しなければならない 5 つの概念を説明します。
1. 何を管理しているのかを把握する
これは、何より先に把握すべき重要なことのように見えます。し
かし、ハイブリッドクラウド管理の戦略を定義する人の多くは、
パブリッククラウドとプライベートクラウドで稼働するワーク
ロードのプロファイルを把握していません。アプリケーションの
役割、たとえば、ユーザーとのやりとりやデータ管理をどのよう
に行い、ネットワーク、セキュリティパターン、パフォーマンスな
どをどのように処理しているかを把握する必要があります。
把握すべき事項を具体的に挙げます。
• 組織内でワークロードを所有しているのは誰ですか。また、
障害発生時に連絡を受ける必要があるのは誰ですか。
• ビジネスにおけるワークロードの役割は何ですか。ビジネス
に与える重要度ごとに考える必要があります。ハイブリッド
クラウド上のワークロード管理に費やすリソース数を基に把
握します。リソース数はそれらがビジネスにもたらす価値に
沿ったものでなければなりません。
• ワークロードの稼働時間帯はいつですか。継続的に稼働す
るワークロードもあれば、毎日同じ時間帯に稼働するワーク
ロードもあるでしょう。ここでも、ハイブリッドクラウドでの
ワークロード管理にどのように取り組むかを基に把握し
ます。
• ワークロードはどの環境で稼働しますか。パブリッククラウ
ド、プライベートクラウド、またはその両方ですか。