The Doppler Quarterly (日本語) 春 2016 | Page 49

つまり、 TCO 分析と ROI 分析の違いは、 TCO が支出と削減を定義するのに対し、 ROI は 支出と削減を考慮しつつ、どのような価値が生まれるかを判断するということです。ビジネ スで必要となるクラウドの全体的な価値を効果的に定義するには、 TCO と ROI の双方とそ の違いを理解することが重要です。 削減のタイプを特定する まず、直接的で目に見えるコスト削減と効率改善の観点から、クラウドのハード面のメリット を定義します。これらのコストは通常、簡単に特定することができ、明確な価値をすぐに割 り当てることができます。 ソフト面の節減は、正確に数値化するのが難しい価値ポイントですが、場合によっては、ク ラウドのハード面の節減以上に価値のあるものとなります。クラウドエコノミクスの包括的な 評価では、ハード面とソフト面の節減額の双方について徹底的に分析する必要があります。 ハード面の節減 ソフト面の節減 • コンピュート、ストレージ、ネットワー キング、セキュリティに対する費用の 削減 • ハードウェアとソフトウェアの購入 (CapEx) の回避 • 運用コスト ( バックアップおよび DR / DC) の削減 • 運用メインの担当者の削減 • 同じクラウドサービスを使用してソ リューションを定義し、再定義するこ とを可能にする、サービスおよびアプ リケーションの再利用 • 開発者の生産性の向上 • 顧客満足度の向上 • 新たに生じる機会に応じてビジネスプ ロセスを迅速に変化させる能力 • グローバル展開の加速 人的ミスのコスト 見過ごされがちな重要な節減は、コスト回避です。上記の表にはコスト回避が記載されて いないことに気付いた方もいるでしょう。これは、コスト回避がハード面またはソフト面の 節減のいずれにも含まれる可能性があるためです。一部の失敗 ( たとえば、ブラックフライ デーに e- コマースプラットフォームが 1 時間ダウンするなど ) は数値化が容易ですが、そ の他の失敗、たとえば評判への悪影響などの数値化ははるかに困難です。 クラウドが企業のコスト回避をサポートする能力は、非常に強力です。たとえば、私たちの 顧客の多くは、さまざまなレベルのクラウドと DevOps を使用して、稼働時間を改善し、運 用、開発、展開のプロセスを大幅に効率化しています。 時間をかけて、自動化の不足 ( 人的ミスの増加 ) が会社のコストにどれだけ影響するかを 理解しておかないと、将来のコストを削減する大きなチャンスを失うことになります。 2016 年春号 | THE DOPPLER | 47