The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2018 | Page 54

• 価値の低下。適切なサポートがないと、価値分析での見積り す。データセンター環境が完全になくなることはなく、管理され よりも多くの費用と時間がクラウドへの移行にかかる可能 るワークロードの移動は意味がありません。その一方で残りの 性があります。 ワークロードは、パブリックとプライベートクラウドに移動しま 現在の競争の激しいビジネス環境では、こうした問題に企業は 耐えられません。したがって、企業はクラウドインプリメンテー ションができるだけスムーズに進むように、また将来の IT ニー ズを満たすようビジネスを位置付けるために、適切なエキス す。つまり、将来の環境はさらに複雑になり、幅広い分野のスキ ル、リソース、および管理モデルをもつ MSP の支援が必要にな ります。 企業の将来を方向付けるために、 MSP は多様な方式に手を広 パートのコンサルティングを受ける必要があります。 げる必要があります。オンプレミス / オフプレミス環境、複数 クラウド管理オプション する必要があります。柔軟性のあるプロセスや方法論を実践す 単独で実行 なかには自社でクラウド環境を管理する企業もあります。これ は、一定の状況ではうまくいきます。一部の巨大企業は、自社 の環境と投資への管理を維持するために単独での実行にこだ わっています。他には、方法論を理解し、必要なツールを手に 入れ、トレーニングを受けるために MSP とともに管理を始め、 その後自社で環境を管理する企業もあります。ただし、これら のやり方では一般に、カスタマーの希望する価値の実現には 長い時間がかかります。 「習うより慣れよ」が大切です。非常に 早い時期にクラウドインプリメンテーションに乗り出した組織 は、業務を進めながら学ぶ大きなチャンスをつかんでいます。 ニッチ MSP との連携 パブリッククラウドに移行する企業が増えつつある現在、多 くの企業は、 3 つの主要なクラウドプロバイダーである AWS、 Microsoft Azure、 Google Cloud Platform の いず れ か へ の移行と実装の管理を専門としたサービスプロバイダーと連 携しています。これらの MSP は、一般に 1 社のクラウドに関す るツールや専門知識しか保有していません。それでは、データ センター環境に複数のクラウドやリソースを含む実装の場合は どうでしょう ? 多くの MSP は今なお「専門」クラウドサービス プロバイダーであり、複数の IT 環境に対応する能力はありま せん。 エンタープライズ MSP との連携 エキスパートがみな同意しているように、将来はハイブリッド IT 環境が大勢を占め、ハイブリッドクラウドへの支出は、 2016 年から 2021 年にかけて 3 倍近くに達するという予測がありま 52 | THE DOPPLER | 2018 年夏号 のパブリッククラウド、エンタープライズグレードの実装を管理 る必要があります。さらに、コンプライアンス、コスト管理、およ びグローバル IT の需要に十分な注意を払う必要があります。 企業がクラウド MSP に求める 5 つの必須要素を示します。 1. ハイブリッドモデル、整合性の確保 MSP が複数のプライベートクラウドに対して複数モデルを提案 する場合、それらの運用モデルを統合するのは非常に困難で す。異なるクラウドそしてデータセンターにあるワークロードを 同じ方法で管理すると、セキュリティホールを生み出すギャップ が広がるリスクを低減します。 2. エンタープライズレベルの懸念事項へのフォーカ ス、すべてのサイトが対象 CTP の実用最小限のクラウド (MVC) 方法論のようなアプロー チにより、 MSP は開始からすぐに完全なエンタープライズ対応 の環境を構築することができます。特定のワークロードを移行 する単純な環境を立ち上げるモデルで MSP が安い料金を提 示した場合、その環境はエンタープライズクラスのワークロー ド向けに設計されてはいません。そのセキュリティ、監査能力、 コンプライアンス機能は、エンタープライズニーズを満たすレベ ルでは運用できません。 3. 柔軟性への取り組み 企業には同様のニーズがありますが、実装はそれぞれ異なり ます。MSP は整合性を求められますが、変化する要件に適応 できないほど、厳しすぎるのも困ります。企業は独自にツールを 選んで環境に組み込む場合があります。MSP が要求に対応 できるなら、問題はありません。カスタマーが独自のツールの