The Doppler Quarterly (日本語) 夏 2018 | Page 3
The Doppler効果
過去数年間にクライアントのクラウドプログラム プロバイダーと呼ばれるケースが増えている ) を
の多くは大きな進展を見せましたが、一部はある 活用する利点について説明しています。運用の複
程度にまでしか達していません。実際、パブリッ 雑さ、設備の刷新、および人材の変革というすべ
ククラウドのスケーリングを始めるには、人材、プ ての課題を有能なサードパーティに任せることに
ロセス、およびテクノロジーを含む IT の大規模 より、エンタープライズは速やかにクラウドへ移
な変革が必要です。 行し、リスクを抑えながらイノベーションを促進
自前のリソースを使ってこの変革に着手し、やり
とげるクライアントもいます。一方で、初めはうま
くいっても、価値の実現を始めるにあたって必要
な取り組みが不足していたため難航してしまうク
できます。その結果、はるかに低いコストの運用
モデルが生まれることもよくあります。スケーリン
グを効率的に行うには方法と経験が必要だから
です。
ライアントもいます。さらに、初めから変革への希 マーケット全体を見てきて 1 つ明らかになったの
望もなければ着手するリソースもなく、少なくとも は、クラウド MSP はまったく同じではないという
現時点はその時期ではないと考えるクライアント ことです。カギとなるのは DNA です。創業時から
もいます。それでは、クライアントが不要と考えて クラウドを活用したプロバイダーは、パブリックク
いるのに変革すべき理由などあるのでしょうか。 ラウド運用モデルに全体的な重点を置きます。一
クラウドはクライアントの本業ではなく、ほとんど 方、従来の ITO/MSP は、レガシーの考え方と
の場合に差別化の要因にもなりません。 作業量の多いプロセスを新しいモデルに組み込
CTP はクライアントとの多くの協業で、運用モデ
ルの強化を支援してきました。実用最小限のクラ
ウド (MVC) の方法論をベースにした環境には、
ITとクラウドを連携させる自動化およびプロセス
モデル、ツールセット、および新しいセキュリティ
むよう試行しています。クラウド MSP には、ロー
カルであるいは一部の地域で強いプロバイダー
もあれば、大規模エンタープライズクライアント
と連携して国全体あるいはグローバルに展開で
きるプロバイダーもあります。
アーキテクチャーがあります。現在にいたるまで、 重要なのは、完全なエンタープライズ対応クラウ
成功とはどのようなものか、そして簡単に見落とし ド MSP とはどのようなものかをしっかり把握す
てしまう共通の落とし穴について、いくつかの点 ること、そして選択を間違うと、結果としてリスク
がわかってきました。企業は、パブリッククラウド が増大し、最適な価値を低下させる理由を明確
プログラムとオンプレミスクラウドプログラムを に理解することです。今号では、企業がクラウド
共通運用モデルでマージすることの価値をます 管理対象サービスプロバイダーに求めるべき基
ます認識し始めています。しかし、これにより運 本要素とクラウド管理オプションについて検討し
用環境の数も増えるため、複雑性もリスクも高ま ます。最適な選択肢が見つかれば、完全なハイ
ります。その結果、自社だけでの対処はさらに難 ブリッドクラウドモデルという、現在から未来に
しくなっています。 わたって組織が継続的に成功するために大きな
本 書の 50 ページで John Treadway は、価値
役割を果たします。
実現時間を短縮し、クラウドプログラムのスケー
ルを拡大する管理対象サービスプロバイダー
(MSP -- クラウド MSP またはクラウドサービス
最高経営責任者
Bruce Coughlin
2018 年夏号 | THE DOPPLER | 1