The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 31
ラストラクチャや自社のシステム内で発生した障害を乗り切る
ことができます。
当社がクラウドへの移行を決定した主な理由は、コスト削減に
あったわけではありませんが、ストリーミング 1 回あたりのクラ
ウドのコストは、嬉しいことにデータセンターのコストのわずか
数分の 1 になりました。これはクラウドの柔軟性によって実現
したもので、これにより当社ではインスタンスタイプの組み合わ
せを絶えず最適化し、大容量のバッファーを維持することなく、
ほぼ瞬時に設置面積を拡縮できるようになりました。また当社
は、大規模なクラウドエコシステムでしか実現されないスケール
Netflix がクラウドネイティブな企業へ
と移行するには時間と努力が必要でした
が、それによって優位な立場に立って成
長を続け、グローバルな TV ネットワーク
へと変貌を遂げることができました。
Netflix のストリーミングテクノロジーはこの数年で大きな進歩
を遂げ、ついにこれまでの制約を受けなくなったと感じられる
メリットも得ています。 までの状態になりました。この業界の多くの企業にとって、ク
クラウドのメリットが明らかであるにもかかわらず、なぜ移行 問題は数多く存在しますが、当社はこれからも、 Netflix Open
を完了させるまでに丸 7 年も要したのでしょうか。実際のとこ
ろ、クラウドへの移行は大変な作業であり、当社はその過程で
何度も難しい選択を迫られました。クラウドへの移行にあたっ
ては、ほぼ間違いなく、すべてのシステムをそのままデータセン
ターからフォークリフトで運び出して AWS に移す、というのが
ラウドはまだかなり新しいものであるため、解消すべき疑問や
Source などのイニシアチブを通じて業界内の素晴らしい技術
者と連携し、こうした課題のすべてに対処していきたいと考え
ています。
この記事は、 Netflix のテクニカルブログで公開されたものです。
最も簡単な方法と言えますが、その方法では、システムとともに
データセンターの問題や制約もすべて移行されてしまうことに
なります。そこで当社は、その代わりにクラウドネイティブのア
プローチを選択してほぼすべてのテクノロジーを再構築し、経
営の方法を根本から変えました。また、アーキテクチャーの面
ではモノリシックなアプリケーションを数百のマイクロサービス
に移行し、 NoSQL データベースを使用してデータモデルを非
正規化しました。そして予算承認、一元的なリリースの調整、お
よび数週間にわたるハードウェアプロビジョニングのサイクル
によって継続的デリバリが実現し、エンジニアリングチームが
疎結合の DevOps 環境でセルフサービスツールを使用して単
独で意思決定を行えるようになったことで、イノベーションが促
進されましたが、それとともに、新しいシステムを数多く構築し
て新たなスキルを習得しなければなりませんでした。
2017 年冬号 | THE DOPPLER | 29