The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 24

McKinsey & Company 社が 2016 年に発表したレポートでは、ディスラプションが起きそう になったときに従来の企業が躊躇することが明らかにされています ( 図 1)。 Faint Signals 微弱信号と with lots of 多数のノイズ noise Emergence of 検証済みの a validated モデルの登場 model Critical mass of 導入の本格化 adoption achieved At scale and 大規模な導入と mature 成熟 Decisive 決定的 Impact な影響 New 新しい Business ビジネス Model モデル Incumbent’s 既存の企業の Business ビジネス Model モデル Negligible わずかな Impact 影響 時間 Time McKinsey & Company 社のデータを修正 Modified from McKinsey 図 1: ディスラプションにおける既存の企業の躊躇に関するマトリックス 「ディスラプションが起きると、従来の S 字曲線上を進む企業は、 新しい S 字曲線の下にある新たなビジネスモデルに直面し、創造 的破壊の循環が再び始まりますが、このとき形勢は逆転してい ます。ここで 2 つの主要な課題が生じますが、その 1 つ目として は、初めは傾斜が緩やかで多くの場合に収益性の面での印象が 薄く、最初は注意を要しない、新しい S 字曲線を認識することが 挙げられます。」 この概念の本質は、デジタルディスラプションに投資した人が、多くの場合にその投資との関 連で生み出すことができる価値に「心を動かされない」 という事実にあります。たとえば、 IoT ベースのテクノロジーを活用して生産状況を追跡する場合、こうしたシステムに対する初期投 資はかなりの額になるものの、それによってもたらされるディスラプションが見られるのは 1 年以上先になる可能性があるため、デジタルディスラプションを起こすテクノロジーに投資で きる企業は、すぐにではないにしても最大限の利益を得ているケースが少なくありません。 ディスラプターの台頭 今日の市場には、デジタルディスラプターの事例が数多くありますが、ここでは、クラウドテク ノロジーを活用する主要な企業や先駆者によって破壊されたいくつかの業界の事例を厳選 して紹介します。 22 | THE DOPPLER | 2017 年冬号