McKinsey & Company 社が 2016 年に発表したレポートでは、ディスラプションが起きそう
になったときに従来の企業が躊躇することが明らかにされています ( 図 1)。
Faint
Signals
微弱信号と
with lots of
多数のノイズ
noise
Emergence of
検証済みの
a validated
モデルの登場
model
Critical mass of
導入の本格化
adoption
achieved
At scale and
大規模な導入と
mature
成熟
Decisive
決定的
Impact
な影響
New
新しい
Business
ビジネス
Model
モデル
Incumbent’s
既存の企業の
Business
ビジネス
Model
モデル
Negligible
わずかな
Impact
影響
時間
Time
McKinsey & Company
社のデータを修正
Modified
from McKinsey
図 1: ディスラプションにおける既存の企業の躊躇に関するマトリックス
「ディスラプションが起きると、従来の S 字曲線上を進む企業は、
新しい S 字曲線の下にある新たなビジネスモデルに直面し、創造
的破壊の循環が再び始まりますが、このとき形勢は逆転してい
ます。ここで 2 つの主要な課題が生じますが、その 1 つ目として
は、初めは傾斜が緩やかで多くの場合に収益性の面での印象が
薄く、最初は注意を要しない、新しい S 字曲線を認識することが
挙げられます。」
この概念の本質は、デジタルディスラプションに投資した人が、多くの場合にその投資との関
連で生み出すことができる価値に「心を動かされない」
という事実にあります。たとえば、 IoT
ベースのテクノロジーを活用して生産状況を追跡する場合、こうしたシステムに対する初期投
資はかなりの額になるものの、それによってもたらされるディスラプションが見られるのは 1
年以上先になる可能性があるため、デジタルディスラプションを起こすテクノロジーに投資で
きる企業は、すぐにではないにしても最大限の利益を得ているケースが少なくありません。
ディスラプターの台頭
今日の市場には、デジタルディスラプターの事例が数多くありますが、ここでは、クラウドテク
ノロジーを活用する主要な企業や先駆者によって破壊されたいくつかの業界の事例を厳選
して紹介します。
22 | THE DOPPLER | 2017 年冬号