The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 22
ムーアの法則によると、デジタルデバイス、センサー、およびプラットフォームで取得される
データの量は 3 年ごとに倍増し続けます。すでに多くの企業がビッグデータ分析を使用して
ビジネスモデルを大きく変えつつありますが、どの業界にも、新たな発見やイノベーションの
原動力となる、かつて活用されていたものの現在は十分に活用されていない価値あるデータ
が数多く存在します。
3. モノのインターネット (IoT)
最近では、あらゆるものに何らかのネットワーク接続オプションが搭載されており、その範囲
は、サーモスタット、 TV、冷蔵庫、そしてコーヒーメーカーにまで至ります。この数年で IoT の
概念を普及させてきた GE 社などのメーカーが販売する産業機器の分野では、大きな進化
が見られ、それが自動運転車、自動的にメンテナンスや修復を行う産業用機械、農業経営
者が収穫量を 30% 以上増やせる時点まで農作物を監視できる機能といった、あらゆる用途
につながっています。
4. 機械学習
人工知能の一部である機械学習により、コンピューターは人間とほぼ同じように、実際に経
験から学ぶことができるようになります。インターネット上で生成されたデジタル情報のレポ
ジトリへのアクセスをコンピューターに提供し、ニューラルネットワークを用いて確率を予測す
るシステムからそれらを稼働させて継続的なフィードバックループを構築すれば、このテクノ
ロジーの用途は無限に広がります。また最近、コンピューターが人間を理解してコミュニケー
ションを行う能力を強化する、自然言語処理も登場しました。
5. ブロックチェーン
ブロックチェーンは、あらゆる取引の記録に使用できる公的な台帳システムです。台帳は複数
の場所で同時に保存され、エントリーは改変を防ぐために暗号で署名されます。また、ブロッ
クチェーンはすべての取引に関する監査可能な証跡を提供することにより、信頼できる仲介
者を不要にします。不動産、金融取引、さらには医療におけるブロックチェーンのメリットを考
えた場合、ユースケースは数多くあります。
ディスラプションへの対応
新興企業は多くの場合、レガシーテクノロジーをベースにビジネスを構築してきた既存の企
業より有利な立場にあり、白紙の状態から始まった新しい組織は、柔軟に実験を行うことが
できます。こうした企業は、期待されている将来の収益を得るための価値を創出することに
関心を持っていますが、それとは対照的に、既存の企業は標準化、一貫性、および安定性を
重視しており、それがディスラプションと不確実性を伴うデジタルイノベーションを活用するこ
とを難しくしています。
20 | THE DOPPLER | 2017 年冬号