The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 15
Docker Swarm
Docker Swarm クラスターマネージャーは、開発者がマルチコンテナー/ マルチホストの分
散アプリケーションを構築して出荷する際に役に立つ、クラスタリング、スケジューリング、統
合機能といった Kubernetes と同じ機能を提供します。Docker Swarm には、コンテナー
ベースのシステムの拡張と管理に必要なすべての機能が含まれています。
ただし、 Docker Swarm は標準というより 1 つの製品であり、 Docker 社はおそらくそれを
意図しています。Docker はコアを管理するものかもしれませんが、コンテナーを本番環境
に移行するのに必要な付加価値のあるテクノロジーは、引き続きそれらに投資してきたベン
ダーによって提供および管理されるものと思われます。
CoreOS Tectonic
CoreOS 社もこの分野に参入しており、本質的に Kubernetes as a Service である同社の
Tectonic クラスターマネージャーは、 Amazon Web Services で、またはオンプレミス製品と
して利用できます。Tectonic は、上記のコンテナークラスターマネージャーのすべてとだけで
なく、 Docker コンテナーと CoreOS 社の Rocket コンテナーの両方とも互換性があります。
Apache Mesos
最後に、オープンソースの Apache Mesos クラスターマネージャーは安定性が高いことで知
られており、 Docker と組み合わせて使用すれば、スケジュールを設定して耐障害性を高める
ことができます。クラスター管理ダッシュボードで Web ユーザーインターフェイスを使用する
Mesos は、拡張性の点で妥協できない大規模なコンテナー環境で広く使用されています。
いくつかのコンテナーテクノロジーは独自仕様であり続ける
コンテナー管理、セキュリティ、およびストレージ市場は今後、コンテナー市場と同じくらいの
規模になる可能性がありますが、それらの製品がオープン標準をベースに構築されることは
なさそうです。確かにオープンソースの製品もいくつか展開されることになるとは思いますが、
私はそれらの製品について、コンテナーの展開、保護、および管理に関するより深い問題に
重点を置いた、営利を目的とする独自仕様の製品と同じレベルのサポートは提供されないの
ではないかと見ています。
私は、オープン標準とそれに関連する製品が何の役割も果たさなくなると言っているのでは
なく、今後もそのいくつかは、 Docker やコンテナーの中核をなすと考えています。ただし、実
際のソリューションは独自仕様になると思われますが、実際のところ、それは悪いことではあ
りません。
標準によってコストが削減されない理由
コンテナーの標準の価値を考察するにあたっては、それをいつオープンにする必要があり、
いつオープンにしなくても問題ないのかを考えることが重要です。正直なところ、アプリケー
ションをコンテナーに移行しても標準によってコストが削減されることはなく、過去にソフト
ウェアの大部分の領域でそのようなことがあったのかさえわかりません。
では、コンテナーの標準に関する戦略はどのようなものにすべきなのでしょうか。まず、コン
テナーの標準がコアで最も大きな効果を発揮する範囲を把握することが重要です。フォー
マットとランタイムはすべて標準化する必要がありますが、幸いなことに、 Docker 社と
CoreOS 社はいずれも、一般的なコンテナーの標準に関してその方向に向かっているように
思われます。
2017 年冬号 | THE DOPPLER | 13