The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2017 | Page 12
コンテナーの相互運用性:
本当に標準は重要なのか
David Linthicum
「私たちは、理にかなっている非常に狭い範囲でしか
テクノロジーを標準化しませんでした。」
Docker 社の創設者兼 CEO である Solomon Hykes 氏が上記の発言をした後、現在コンテ
ナーを使用している IT プロフェッショナルのコミュニティは、不安の高まりを感じたかもしれ
ません。
Hykes 氏の心情を考えると、現在のコンテナーの標準を使用している人は、それらが今後ど
うなるのかと思うかもしれません。特定のベンダーやプロバイダーが所有することになるので
しょうか。どの程度の相互運用が可能なのでしょうか。そしてどれだけの標準をコミュニティ
が管理することになるのでしょうか。
現在、多くの標準に十分な実績がないことが問題となっており、 Linux に関するものなど、一
部の標準は問題なく機能してきましたが、その他数百の標準はごみの山と化し、独自仕様の
テクノロジーに吸収されるか、完全に消え去ってしまいました。
とは言え、コンテナーのアピールポイントは、中核的なデファクトスタンダードとして普及して
きた Docker などの標準に あり、 Docker 社は、少なくともいくつかの標準のサポートに力を
注いでいるように見えますが、結局のところそれはビジネスです。そして経営者側は、自己の
利益のためにビジネスを展開しているため、それ以上のものを期待してはなりませんが、必ず
しもそれが悪いことであるとは限りません。
では、これは標準にとってどのような意味があり、使用するテクノロジーはどのように選択す
ればよいのでしょうか。
コンテナーを巡る競争はどこで展開されているのか
Dockerという名称はコンテナーの代名詞になっていますが、それがコンテナーの唯一の選
択肢ではなく、 CoreOS 社、 Google 社、 Microsoft 社、 Amazon 社といった他のベンダーも
すべて、コンテナーを非常に大きなビジネス機会と考えています。また、 Apcera 社、 Cisco 社、
EMC 社、 Fujitsu Limited 社、 Goldman Sachs 社、 HPE 社、 Huawei 社、 IBM 社、 Intel 社、
Joyent 社、 Mesosphere 社、 Pivotal 社、 Rancher Labs 社、 Red Hat 社、 VMware 社といった
10 | THE DOPPLER | 2017 年冬号