The Doppler Quarterly (日本語) 冬 2016 | Page 43
Jon Baier
CTP、シニアアーキテクト
とりわけ、このアーキテクチャー上の基本的な相違点が、
スピードという仮想マシンに対する Docker コンテナーの
重要な優位性をもたらしています。簡単に言うと、ビルド、
構成、テスト、展開、更新、移行といったほとんどすべて
の標準開発または運用タスクについて、 Docker コンテナー
は時間短縮とコスト削減を実現します。製品化までの時間
短縮と TCO の削減を約束することが、多くのコンテナー
それぞれが目指すところです。コンテナーが完全に仮想マ
シンに置き換わる可能性はなくとも、コンテナーが VM の
主なワークロードの 1 つではなくなるかもしれないことは想
像できます。
通説1の真実: 誤解
通説2: Dockerコンテナーは
クリティカルなワークロードに向かない
現在、 Docker コンテナーは開発テストと概念実証プロジェ
クトでのみ利用されるといった ( 誤った ) 認識が広まってい
ます。実際に、IT の同僚やお客様から、
「Docker コンテ
ナーがクリティカルなワークロード、ましてや本番環境で使
用されていることなどあるのですか」という質問を頻繁に
受けます。
「使用されています」と、
はっきりと答えています。
Docker コンテナーではクリティカルなワークロードが稼働
中で、一般に把握されているよりもはるかに普及しています。
以下にその一例を示します。
• 世界的な金融サービス企業の ING は、Docker コン
テナーを使用して継続的デリバリプロセスを加速化
し、毎週 500 の展開を推進して、市場投入までの時
Dan Griffith
CTP、シニアアーキテクト
間を短縮する目標を達成しています。
• 世 界 的 な 投 資 銀 行 で あ る Goldman Sachs は、
Docker コンテナーを使用して、アプリケーションの構
築と展開を集中化しています。
• 音 楽 ストリーミングの 大 手 企 業、Spotify で は、
Docker コンテナーにより、ソフトウェア展開の反復
実行、簡素化、フォールトトレラントが可能になりまし
た。
• アプリケーションパフォーマンス管理の大手企業、
New Relic は、展開に関する困難な問題の解決に
Docker コンテナーを利用しています。
• さらに言えば、Docker コンテナーによる大規模な展
開には公表されていないものもあります。非公開の理
由は明らかに、そうした企業が高い競争力を獲得して
いるためです。
通説2の真実: 誤解
通説3: コンテナーはエンタープライズITに
数年間影響を与えない
IT 業界の多くの識者が、企業の新しいテクノロジーの採用
には従来時間がかるということを、コンテナーがエンター
プライズ IT に短期間で大きな影響を与えない理由として
挙げています 過去にいくつかの例証があるとはいえ、今日
のエンタープライズ IT 環境が大幅に変化したことがこの観
点では考慮されていません。エンタープライズ IT プロジェ
クトが従来、数か月や数年に及んだ一方で、DevOps アプ
2016年冬号 | THE DOPPLER | 41