RSTR Magazine Issue #08 | Page 10

1954 年

子犬の両前肢とともに頭部を成体の犬 の頸部に移植する方法を発明し 、 実行し た 。 両頭部ともに呼吸をし 、 自在に動き 、 深皿からミルクを同時にぴちゃぴちゃと 飲んでいた 。 この類稀な光景は映画フィ ルムに収められた 。 『犬の頭部の移植実 験』というドキュメンタリー映画は 、 1956 年にアメリカで開催されたソ連国際博覧 会 に て 上 映 さ れ た 。 そ の 後 デ ミ ホ フ は 世 界中で有名になった 。
った 。 この手引き書は数か国語に翻訳さ れ 、 ニ ュ ー ヨ ー ク 、 ベ ル リ ン 、 マ ド リ ー ド で は再版された 。
国際社会においてデミホフは学術的権 威として認知され 、 移植医療の父と呼ば れるようになった 。 世界の最も優秀な医 師たちが手術に立ち会うために世界中 からソ連にやってきた 。 1960 年と 1963 年にはケープタウンから心臓外科医であ

1960 年

デミホフはスクリフォソフ記念救急医療 研究所への移動を余儀なくされた 。

1960 年

には『生死に関わる器官の移植実験』と いうモノグラフを出版したが 、 それが移 植手術に関する世界初の手引き書とな り 、 長年にわたって唯一の手引き書であ

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るクリスチャン・バーナード ( Christiaan Barnard ) がデミホフのもとへ学びにやっ てきた 。 彼は 1967 年に世界初となる人 間の心臓移植を行い有名になった 。 デミ ホフの下で学ぶ実習生の中にはアメリカ の心臓外科医であるマイケル・ドベイキー ( Michael DeBakey ) もおり 、 のちに彼 は冠動脈バイパス術をボリス・エリツィン 大統領に施した 。