JAPAN and the WORLD Magazine OCTOBER ISSUE 2016 #Issue 17 | Page 29
TICAD VI
Africa. In three years time, the picture may
not have changed drastically but in five, six,
seven years, you will see those relatively less
advanced nations in Africa having more and
more investment from Japan.
The Japanese government has used
the word “quality infrastructure”
to describe the value added of its
involvement in Africa. How would you
define the meaning of this expression?
Well, “quality investment” is one of these
buzz words frequently mentioned in the
international community by aid donors.
It is a reflection of both. Firstly, all of
the governments, including Japan, are in
austerity mode. “Austerity” is an objective
for any government. You cannot spend your
taxpayer’s money casually. You cannot waste
your taxpayer’s money, which is why you have
to spend in a qualitative way when it comes
to giving aid. That is a domestic concern.
The second one is that you must be proud
of the kind of investment you do to build
infrastructure that could last longer and
that could involve human capital, including
local human capital, that could even inspire
education, the value of education, among the
local people.
You cannot waste your
taxpayer’s money, which
is why you have to spend
in a qualitative way when
it comes to giving aid.
Can Japan challenge China in Africa?
The Chinese investment is large and varied. It
is not just big companies but also individuals
that are taking risks and challenges in
penetrating African nations. One has to
admit – had it not been for the amount of
involvement from the Chinese, the growth
of Africa would have been much slower,
because for many African nations, China is
the biggest market for their products and the
biggest source of investment.
Competing against China is a “lose-lose”
game. The Japanese investment is not for
competing against China. It is simply to gain
profits and to be successful in selling their
own products in Africa. You will find the
transportation network exists in Africa, as
initi ally developed by the Chinese, and you
should take advantage of that.
You must also do your investment while
being aware of what difference you could
bring to African nations. I am very much
convinced that this commitment to work,
the dedication to work, based on the love of
working, is something that bears a unique
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Japanese brand to many people in Africa. So,
you could pursue your investment primarily
to gain profits, but you should do it in a way
that could differentiate who you are from the
rest, including the Chinese.
TICAD VIは、
アフリカと日本の双方から多くのビ
ジネスリーダーが参加し、大成功を収めたと評さ
れています。
ジャパンフェアには80社を超える日本
企業が出展し、製品や技術を精力的にPRしたそ
うですね。
わが目を疑うほどの盛況でした。
というのも、我々
日本政府の多くの関係者は、
これまでずっと日本の
民間セクターに対して、
アフリカの将来性にもっと
真剣な関心を向けてもらおうと働きかけてきたの
ですが、
なかなか取り合ってもらえなかったからで
す。
それが(前回の)2013年のことでした。
それか
ら3年が経過し、
ここにきてにわかに、
アフリカに関
心を示す財界のトップが急増したのです。
ようやく、
日本のビジネス界がアフリカの現実に追いついて
きたと感じています。
日本企業がアフリカに提供で
きる製品やサービスは、
アフリカの消費者の価値
観やニーズを取り込めば、
より良いものになるだろ
うと、多くの人々が期待していることでしょう。
日本のビジネス界がアフリカの現実
に追いついてきたと感じています。
日本は向こう3年間で、官民総額300億ドル(約3兆
円)規模の投資を行う方針を表明しました。民間セ
クターが短期間に200億ドル(約2兆円)
もの巨額
な投資や拠出を行うことは、果たして実現可能な
のでしょうか?
あいにく、未来を占う水晶玉を私は持ち合わせて
いませんが、断言できることが一つあります――こ
の数字は決してどんぶり勘定ではないということで
す。
日本政府がこうした表明をするからには、
当然、
政府と財界との間で事前に何度も協議を重ねてき
たと考えてしかるべきです。
まず間違いなく実現で
きるという見通しがなければ、政府はこのような表
明はしなかったでしょうから、期待して良いと思い
ます。
もっとも、将来何が起こるかはわかりません
が、
この数字が(現時点で)実現可能なものである
ことは確かです。
これまで、
日本企業の恩恵を受けてきたのは、
アフ
リカのほんの一握りの国々だけでした。
どうしたら
民間セクターからの新たな投資をアフリカの他の
国々にも公平に動員することができますか?
これは、
日本の民間セクターにとって今後の課題
の一つです。
まさにご指摘のとおり、
これまで日本
の投資の受け入れ先として、
適切なポジショニング
ができていたのは、
ごく一部の国のみでした。
たと
えば南アフリカや、
モロッコなどがそうでしょう。
と
ころが、重要なのはむしろ
(貧困や紛争などの深刻
な問題を抱える)
サハラ以南のアフリカ諸国で何が
できるかということなのです。
しかしこの点につい
INSIDE TICAD VI
て、
私は以前よりも楽観的です。
なぜなら
(初めにお
話しすべきでしたが)大企業だけでなく、中小企業
や個人起業家にも、
こうした開発が立ち遅れている
国々への関心が拡がってきているからです。3年で
はそう劇的な変化は望めないかもしれませんが、5
年、6年、7年と経てば、
こうした国々にも日本企業
からの投資がどんどん増えていくでしょう。
政府は、
日本の関与の付加価値を言い表すのに、
「
質の高いインフラ」
という言葉を使っています。
この
言葉をどう定義されますか?
おっしゃるとおり、我々は
「質の高いインフラ」
とい
う表現を使っています。
「 質の高い投資」
というの
は、国際社会ではドナー国がよく使うバズワード
の一つなのですが、我々の表現は二つの意味を持
っています。第一に、
日本を含め、
どの国の政府も
いまや財政緊縮モードにあります。
どこの政府にと
っても
「緊縮」
が基本方針なのです。納税者のお金
をむやみに費やすことはできません。税金を無駄
遣いできない、だからこそ、海外援助についても、
質的な使い方をしないといけない。
これは国内向
けのメッセージです。第二に、
自分たちのしている
投資に誇りを持たなければならない――誇れる
投資とはつまり、持続可能なインフラを構築する
ということ、それが現地の人材を含む人的資源の
活用につながり、
さらには、現地の人々の教育を促
し、教育の価値を根付かせるような役割をも果た
すということです。
税金を無駄遣いできない、
だからこそ、海外援助についても、
質的な使い方をしないといけない。
日本はアフリカにおいて中国に対抗できますか?
中国の投資は規模が大きく、多様です。大企業だけ
でなく個人レベルでも、
アフリカの国々に進出する
ために、
こぞってリスクをとり、挑戦しています。中
国人のこうした関与がなければ、
アフリカの成長は
もっと停滞していたことでしょう――このことは認
めざるを得ません。なぜなら、
いまや中 国は多くの
アフリカ諸国にとって最大の市場であり、最大の投
資元であるからです。
中国と張り合っても双方にとって何のプラスにもな
りません。
日本の投資は中国に対抗するためのも
のではなく、純粋に日本の製品を売って利益を得
るためのものです。
アフリカにはすでに中国人がつ
くった運輸・交通網があるわけですから、
日本はそ
れを活用すればよいのです。
その一方で、我々は、
アフリカ諸国にどういった「
違い」、
「差別化」
をもたらすことができるのかを意
識しながら投資する必要があります。仕事を愛し、
献身的に仕事に打ち込む日本人の姿勢は、
アフリ
カの多くの人々にとって、日本の「ブランドイメー
ジ」
そのものであると、私は強く確信しています。
で
すから、利益を得るために投資をするにしても、中
国を含む他の国々とは一線を画した
「日本らしい」
やり方で、
「日本らしい」貢献を果たしていかなけ
ればなりません。
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