JAPAN and the WORLD Magazine OCTOBER ISSUE 2016 #Issue 17 | Page 13
HEALTH
that would come from certain types of medical
tests that use electrodes. Furthermore, Japan
had multiple scientists nominated for the
Nobel Prizes, one of which was ultimately won
by Japan’s own Yoshinori Osumi for his work
in medicine. He discovered the mechanisms
involved in autophagy, which involves the
breaking down and recycling of cellular
structures.
The way in which health is handled in Japan
has led to a growing industry of medical
tourism. A medical visa is offered for those who
wish to have treatment or surgery in Japan. It
is tempting for many patients globally to seek
treatment in Japan due to the combination of
the high quality of medical service offered, as
well as the very reasonable price points.
In the name of health, Japan attracts not only
those searching for medical treatment, but
attracts people and groups from developing
nations, who come to Japan to learn about
successful health systems so that they may
apply the gained knowledge to the health
systems in their home nations. Japan has
developed learning packages about healthcare
systems that are made for the purpose of
educating and these packages are in high
demand compared to those offered by other
nations because the education modules
are specific, comprehensive, and practical.
Furthermore, the modules not only teach how
to develop a successful healthcare system, but
also how to maintain it and prepare for the
inevitable demographic changes that come
from improved societal health.
EXPECTED FUNCTIONS OF NURSING CARE ROBOTS
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TYPE 1.1 - MOBILITY ASSISTANCE
Function: Helps elderly people walk.
Effect: Enables elderly people to shop
on their own.
TYPE 1.2 - EXCRETION DISPOSAL
Function: Disposal into toilet near bed.
Effect: Enables elderly people with
mobility difficulties to live independently.
FROM JAPAN TO THE GLOBE
か
つて日本は何百年もの間、
中国の伝
統医学を模範としてきた。
これは19
世紀まで続き、明治維新を迎えてよ
うやく西洋医学が政府によって正
式採用された。その後、
日本経済の
急成長に伴い人口もみるみる増加し、増え続ける国
民の健康を守ることが、重要な優先課題となった。
そして、1922~45年に整備された二つの法制度「
健康保険法」
と
「国民健康保険制度」が、
日本の国
民皆保険の礎を築くこととなる。
これらの法制度は
被雇用者のみならず、農業などの非公式経済部門
に属する個人も含めた全国民の保険加入につなが
っていく。やがて最大限の保障を確実にするため、
健康保険などの社会保障給付に政府が助成金を出
し、加入義務が課せられるようになった。
近年では、
国民皆保険の導入は国家に大いなるメリ
ットをもたらし、
日本国民の健康増強と長寿に寄与し
ている。健康保険制度は、基本的に全ての国民が必
要とする医療支援を受けられることを保証し、
長生き
できる人々の割合を最大化する上で決定的な役割
を果たした。
日本は今や世界一の長寿国だ。
そして、
その結果さまざまな課題も生じている。
当然、
人はい
つまでも働くことはできず、
やがて退職を迎える。定
年退職した日本人の数は毎年増え続け、
労働力の枯
渇によって人手不足や若年層の業務負担増、
高齢者
支援のための時間的・経済的負担の増加など、多く
の問題が派生している。
こうした傾向は政府官公庁
も把握しており、
高齢者に寄り添い会話するコンパニ
オンロボットの開発など、定年後の高齢者のニーズ
を満たす方法の模索を資金面で援助している。
日本の健康保険分野に対する財政的支援と研究
は、医療分野にも波及し、
さらなる利便性や技術革
新を生み出している。先に述べたコンパニオンロボ
ット以外にも新しい技術が数多く開発されており、
たとえば東レは、医療検査で使用される電極が原因
で起きる皮膚トラブルを減らせる新機能素材を開
発した。
また、
日本の科学者の多くがノーベル賞候
補となっている。2016年のノーベル医学生理学賞
の受賞が決まった大隅良典・東京工業大栄誉教授
もその一人で、細胞内のたんぱく質を分解して再利
用する
「オートファジー(自食作用)」
と呼ばれる仕組
みを解明した。
日本の保健・医療業界における取り組みは、医療ツ
ーリズム業界を成長させることにも繋がっている。
日本で治療や手術を受けたい人には医療滞在ビザ
が発給される。医療サービスの質の高さと費用対効
果の大きさが相まって、
日本は世界中の多くの患者
にとって、治療を受けるのに魅力的な国なのだ。
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TYPE 2 - MONITORING
Function: Monitoring whereabouts
of elderly people via sensors,
communication functions.
Effect: Ensures safety of elderly people
with dementia, reassuring families.
JAPAN AND THE WORLD MAGAZINE
TYPE 3.1 - LIFTING ASSISTANCE
Function: Worn by caregivers when
transferring elderly people.
Effect: Reduces burden on caregivers.
TYPE 3.2 - BATHING ASSISTANCE
Function: Helps elderly people get into and
out of bathtub.
Effect: Reduces burden on caregivers.
日本の保健・医療は、治療を求める人々だけでなく、
日本の健康保険制度の成功に学び、その経験を自
国の保険制度に生か したい発展途上国の人々の注
目も集めている。
日本政府は健康保険制度を紹介・
活用する研修パッケージを開発したが、
いずれも教
育モジュールの専門性、包括性、実用性の高さから、
他の国が提供するプログラムと比べて高い需要を
集めている。
さらに、
これらのモジュールは、
どうすれ
ば優れた健康保険制度を構築できるのかを教える
とともに、
どのように制度を維持するか、
そして社会
の健康状態の改善に必ず伴う人口構造の変化に備
えて、何を準備するべきかについても、教えてくれる。
OCTOBER 2016 // 13