JAPAN and the WORLD Magazine APRIL ISSUE 2016 #Issue 15 | Page 45

COCOA INDONESIA DID YOU KNOW? 400 , 000 tons of cocoa produced by Indonesia last year, unchanged from 2014, with output expected to rise 5-10% in 2016. インドネシアの昨年のカカオ生産高は40万ト ンで、 2014年と変わらずだった。 2016年は5 -10%の増加が見込まれている。 90 % Smallholder farmers work more than 90% of Indonesia’s cocoa cultivation area of around 1.6 million hectares. インドネシアの約160万ヘクタールのカカ オ栽培面積のうち小規模農家が90%超を 占めており。 積のうち小規模農家が90%超を占めており、残りが 国営および民間セクターのプランテーション企業で ある。小規模農家は一般的に保有面積が1ヘクター ル未満だ。 これでは洗練された機器を導入してもあ まり意味がなく、規模の経済を生かせない状態にあ る。 また劣悪な育成方法に頼ることも少なくなく、害 虫駆除のノウハウも不十分だ。地域によっては生産 性が急激に低下したため、 ゴムやパーム油の生産に 転換を強いられている。 政府は2009年、肥料と改良した種子を無料提供 し、カカオ樹の生育の活性化と強化を図る多年計 画を打ち出したが、生産者レベルの状況改善にはほ とんど役立っていない。 インドネシア・コーヒー・カカ オ研究所(ICCR)はカカオ栽培などの技術向上の 支援を目指し研修会を定期的に開いているが、 これ も、生産者レベルにはほとんど影響を及ぼしていな いのが現状である。 「ネスレ・カカオプラン」 など民間 セクターのイニシアチブでは、生産者を対象に研修 を実施し、栽培方法と病虫害抵抗性を改善するた めの指導を支援する方針である。 Credits: World Agroforestry Centre/Yusuf Ahmad 輸入の大幅な増加がなければ、国内業界は能力を 大幅に下回る水準での稼働を強いられるリスクがあ 直接的な結果としては、原料であるカカオ豆の輸出 る。世界的な食品大手のカーギル、 シンガポールに から、 カカオバター、 カカオパウダーなどの中間製品 拠点を置くJBココア、世界最大のチョコレートメー の輸出へのシフトを挙げることができる。 カカオ豆 カーのバリーカレボーなどの企業による投資を受け 輸出は2009年の43万9000トンから2013年には て、 インドネシアの粉砕能力は2014年末には60万 12万5000トンに減少した(ASKINDO統計)。下 トンに達し、2013年の32万4000トンから大幅に 流部門の成長に伴い、 さらに多くの中間製品がいず 伸びた (ASKINDO統計)。各企業の設備増強計画 れはチョコレート、 ビスケット、 ドリンク、化粧品など を背景に粉砕能力は2016年には100万トンを突 の最終製品に一段と加工される見込みだ。同時に、 破する見込みだ。例えばオマール・インターナショナ インドネシア向け出荷は2013年に4万トンに増加 ル社は2016年前半、6100万ドルを投入したカカ (ASKINDO統計)、2014年には倍増し、供給不足 オ加工施設の操業開始を目指している。 を裏付ける形となったが、同国がカカオ豆の純輸入 国になる可能性も出てきた。 Asia Cocoa Indonesia、Jebe Koko、Barry- Comextra、 カーギルなどの多国籍企業はインドネ シアに自社の粉砕施設を建設した外国勢に含まれ 各企業の設備増強計画を背景 る。 この結果、総処理能力は年間31万トンとなり、 国内チョコレート業界の成長にビジネスチャンスを に粉砕能力は2016年には100 見いだそうとしている。 万トンを突破する見込みだ。 粉砕業界の好況 インドネシアの約160万ヘクタールのカカオ栽培面 JAPAN AND THE WORLD MAGAZINE インドネシアにはカカオ生産高を現行から2倍以上の 100万トンに引き上げる潜在的な能力があるとの点 で衆目が一致しているが、 そのためには相当の努力が 必要である。 生産者がカカオ豆収穫後の作業を改善 し、 また、 出荷前にカカオ豆を発酵させることを決定 する生産者が増えれば、 インドネシア産カカオの品質 を向上できる。 インフラ整備がカカオ産業の追い風に なっており、 この結果、肥料などの入手が容易になる とともに、 カカオ豆の生産地から加工施設への輸送 中にカビが生えるリスクを減らすことにもつながる。 インドネシア国内では良品質のカカオ豆の供給拡 大は引き続き、 カカオ産業にとって極めて重要な課 題であるが、 これ自体、魅力あるビジネスチャンスを 提供している。 カカオ産業のアップストリーム (上流 部門)への投資、国内農家との協業によりカカオ生 産高を引き上げれば、加工企業が自社操業用の供 給分を確保し、国際相場の乱高下にさらされる可能 性が少なくなる。最終的には優れた管理下にあるカ カオのプランテーションが国内業界に供給するだけ ではなく、世界向けのインドネシアの輸出を再活性 化し、近隣のインドと中国がインドネシア産カカオ の主要輸入国になるであろう。害虫に強いクローン と最先端の腹接ぎ技術を生み出すための研究施設 の開発を進めるのも協力可能なエリアである。強力 な農業基盤に支えられ、 インドネシアは原料のカカ オ豆、半製品、消費者向け最終製品の世界的な主 要な供給国になる可能性がある。 APRIL 2016 // 44