JAPAN and the WORLD Magazine APRIL ISSUE 2016 #Issue 15 | Page 41

COCOA GHANA このほかの製品には 01 02 03 Ghanaian products made from cocoa beans. アナッツに対する害虫と病気の発生の抑制、三番目 にカカオの品質向上を目指す科学的研究の促進が 挙げられます。 研究機関のガーナ・カカオ研究所(CRIG) が1938 年に設立、科学的な研究に当たり解決策を探ってい ます。 また、COCOBODの支援という極めて重要な 役割も担っており、特別に開発した栄養素と肥料を 使ったカカオ生産の増大にも取り組んでいます。 “カカオといえばガーナ、ガーナといえばカカオ” ガーナ産のカカオは引き続きプ レミアムカカオの地位を維持して います。大手のチョコレートメー カーでガーナ産のプレミアム豆 を少しも使わずにカカオを加工し ているところは1社もありません。 この言葉はガーナ経済でカカオが重要な役割を演じ ていることを示しています。 現在、 カカオはガーナの輸 出品目別の順位で2位です。 かつてガーナが世界で 主導的なカカオ輸出国だった時には1位でした。 コー トジボワールがカカオ生産の数量ベースでガーナを 追い抜きました。 しかし、 品質となると、 ガーナ産のカ カオは引き続きプレミアムカカオの地位を維持してい ます。 大手のチョコレートメーカーでガーナ産のプレ ミアム豆を少しも使わずにカカオを加工しているとこ ろは1社もありません。例えば日本製のチョコレート は高品質とされていますが、 これもガーナ産カカオの 純粋な品質を維持しているからです。 カカオはガーナの輸出額のうち約20億ドルを占め ていますが、1国の国内総生産(GDP)に毎年寄与 する収入としてはかなりの規模です。 カカオ豆からチョコレートバーへ ガーナ国内のカカオ生産者の数は80万で、 その大半 は小規模経営だと推定されています。 カカオ豆が生 JAPAN AND THE WORLD MAGAZINE 04 カカオハスクを原料とする動物の飼料 : カカオの木の実(カカオポッド) のハスクを完 全に乾燥させてペレット化したもので、動物 の飼料に利用できます。 ソフトドリンク・アルコール飲料の生産 : ソフトドリンク用としては、新鮮なカカオパル プジュースを採取し、 殺菌後に瓶詰めにしま す。 ブランデーなどアルコール飲料の生産に は、新鮮なジュースを沸騰させて冷やしたの ち、 イーストで発酵させます。 カカオポッドのハスクを原料にカリの生産 : カカオポッドのハスクの灰は主に軟せっけん のメーカーに利用されていますが、 カカオ、野 菜、 食用作物用の肥料にも使えます。 プレザーブ : ジャムとママレード。 産者の元を離れたあと、世界の消費者の口に届くま 根覆い(マルチ) : 05 でにはまだ長い道のりがあります。 熟成した実が刃渡 カカオ豆の殻は庭の有機マルチ剤や土壌調 りの長いナタで伐採、 収穫され、 それから木の棒を使 整剤に使うことが可能です。 って外皮が開かれます。 カカオ豆の取り出しは手作 業で行う必要があります。 湿気を帯びたカカオ豆はそ カカオフェスティバル れから5-7日間、 バナナの葉で覆って発酵させます。 カカオ豆は十分発酵できるように少なくとも3回はひ ガーナは世界の主導的なカカオ生産国ですが、自 っくり返しますが、 このプロセスが品質の向上に大変 国内の人口1人当たりの消費量はアフリカ全体の 重要です。 カカオ豆はさらに10-14日間にわたり日 0.4%を下回っています。 光に当てて乾燥させなければなりません。乾燥した カカオ豆は買い付 け認可業者(LBC) の代理人に持 このためガーナのCOCOBODはかねてチョコレー ち込まれ、品質管理官がサンプル検査して十分に乾 トフェスティバルを運営しており、 カカオとカカオ製 燥しているかを確認します。 カカオ販売会社 (CMC) 品が健康および経済面でもたらすメリットにより多 に引き渡された後、 内外のバイヤーに出荷されます。 くの関心を引き付け、 ガーナ国民の消費量の拡大を 目指しています。 日本とガーナ:カカオがとりもつ関係 昨年、 ガーナ、 日本の両国は日本のカカオ豆輸入開 始から63周年を祝いました。 ガーナはカカオおよびカカオ製品の良さをより多く の人が享受できるよう日本のチョコレート・菓子メー カーと緊密に連携し、 消費の拡大を目指しています。 日本チョコレート・ココア協会の幹部はCOCOBOD と協力し、 カカオ生産およびガーナから日本向けの カカオの農薬使用と輸送について意見交換を重ね ています。COCOBODは生産者を対象に、 カカオ豆 農場でCRIG認可済みの農薬を使うことについて研 修を実施し、 日本など海外のバイヤーがガーナ産カ カオ豆を拒否する事態が起きないように取り組んで います。 カカオに対する病気と害虫が発生するすべて の可能性を除去し、農薬が正しく使用されているこ とを確認する狙いがあります。   ロッテはチョコレート生産にガーナ産のプレミアム カカオを利用しています。 このため、 わが国は生産の 増強に努めており、 日本でのカカオ・チョコレートの 消費拡大に対応しています。 カカオはチョコレート生産だけのものか カカオ製品にはチョコレート、 カカオパウダー、 カカ オバター、 カカオせっけん、 カカオスプレッド、 カカオ リキュールなどがあります。 直近のガーナカカオフェスティバルは、今年2月13 日にアクラで開催されました。今年のフェスティバル の目的の1つは、若者にカカオ生産への従事を促進 することでした。生産農家の大半は高齢化に直面し ており、政府としては若者に生産への参加を呼び掛 けたいわけです。今年のフェスティバルのテーマは 「 ガーナのカカオ生産を支える若者」 でした。 カカオは健康に良いのか ガーナ大学メディカルスクール解剖部のヘッドであ るフェデリック・アダイ教授はカカオが健康に良いこ とを調べるため、広範な研究を行いました。 研究の結果、同教授は自然のカカオ製品(糖分を含 まない) を多く消費する人の血圧が比較的低いこと を発見しました。加えて、 カカオ豆は消化プロセスに 有効な抗酸化物質を含んでいます。 また、多くのカカ オ製品を食べる人は活力に満ちており、 この結果、 免役系統の機能も改善されることを発見しました。 同教授は生きるための活力源を得るにも良いと提 言しています。 カカオは男性機能を高める媚薬の効 能があることも証明されています。 「神の食べ物」 と知られるだけに、カカオの利用で 更年期に伴う心身の厄介な変化を極力抑える媚薬 の効能もあります。血流を改善することで発作の防 止に役立つほか、 虫歯やストレスにも効き、 エネルギ ーと活力も与えてくれます。 APRIL 2016 // 40