Garuda Indonesia Colours Magazine September 2016 | Page 184

182 Wakatobi | ワカトビ れないほどだった。 シュノーケリングを楽しんだ 岩礁では、海水があまりに澄んでいるので、水に 浸かっているというより目に見えない天空に浮 かんでいるような気がした。 ここはバンダ海とフ ローレス海の合流点に当たり、海水にミネラルが 多く含まれるため多種多様な海洋生物が生息し ており、数えきれなくなるほど多くの魚類を目に することができた。 南スラウェシの人々は、歴史的に世界有数の探 検家に数えられる。古代においては、東インドネ シアの大部分に移住するまでに拡散していた。 彼らが実際にどこまで行ったのかは、歴史学者 も把握していない可能性があり、 この勇敢な人々 (恐らくカレデュパ島の労働者を祖先に持つ) はインド洋の恐ろしく深い海を8千キロも越え た先にあるマダガスカルにまで移住していたか もしれないと言われている。 タンボエロエロエハ の小さな桟橋でボートを乗り換えたときに私が 気付いたのは、 カンペナウネ、 トランダノ、 サンプ アギオル山といった地名が、不思議とマダガスカ ル旅行で見かけた名前に似ているということだ った。 2012年、 ワカトビはインドネシアで12番目に 生物圏保護区世界ネットワークに登録された保 護区となった。 その10年前にはWWF(世界自 然保護基金) がここで 「コーラル・トライアング ル・イニシアティブ」 を始めている。WWFは現在 も爆薬や毒などを使った破壊的漁業活動を撲 滅するための運動に力を注いでおり、地域社会 と連携しながら環境にやさしく持続可能なライ フスタイルを模索している。 ホガ島に着くと、私はビーチに面した小さなバン ガローにチェックインし、海岸線のそばにハンモ ックを結び付けた。人でいっぱいのバリ島のビー チから1000キロ離れた、人けのない砂浜での んびりと過ごす至福の2日間が始まるのだ。 歩いて島を一周する間、外国人は一人も見かけ なかったが、 フレンドリーな地元の子供達が集ま って即興のガイドを務めてくれた。 この辺りの島 々では尖ったサンゴが露出した地面が多く、一 番小さな女の子は兄の背中におぶさらないと渡 地球上に生息する850種のサンゴのうち、実に 750種がここに生息している事実を考えれば、 コーラル・トライアングル (大部分がインドネシア の海に属する) に指定されたこの地域の重要性 が理解できる。世界を駆け巡るダイバーにとって 頂点に数えられるカリブ海ですら、 50種のサン ゴしか生息していないのだ。 伝説的なフランス人ダイバー、 ジャック・クストー は、 ワカトビを 「水中の楽園」 と表現した。 モダン・ ダイビングのパイオニアであった彼が、 この楽園 を去る際に涙を流したかどうかの記録は残され ていない。 視覚:渦巻く熱帯魚 無数の熱帯魚が渦巻く万華鏡のような眺めは、 実に贅沢な目の保養だ。 ワカトビに生息する魚 類の数は、公式な集計によると942種で世界一 と言われている。腕を自慢するダイバーなら、世 界的に有名なワカトビの海でのダイビングを一 生に一度は経験しておきたいものだ。 ワカトビ • マカッサルからバウバウへ 飛行時間 55分 運航便数 週7便 © Walt Stearns / Wakatobi Dive Resort; © Didi Lotze / Wakatobi Dive Resort る。 その時はタイ人の通訳を雇ったのだが、 モー ケンの首長と最初のインタビューが始まって数 分で、私はほぼ 「流暢」 と呼べるレベルのモーケ ン語を話して彼を驚かせたものだ。 (ひとしきり 彼を驚かせた後、 その日の午後遅くになってか ら、現在定着しているモーケン語はほぼ完全に インドネシア語から派生したものだ