Garuda Indonesia Colours Magazine October 2017 | Page 179
Sumba | スンバ島の奇跡
は、
バックヤード・トラベルのベテランガイド、
ア
ンセル・ムス・ランガだ。
「もし彼らの父親か祖父
が、亡くなった家族のために墓を建てる巨額の
費用を払えなかった場合、
その借金は次世代に
引き継がれるのです。
」
聴覚
スンバ島で有名なパソラ祭は、毎年(2月と3月)
行われている騎馬戦儀式で、大声の飛び交う激
しい槍投げ合戦が繰り広げられる。近年では本
物の槍の代わりに細長い棒が用いられるが、望
ましい結末は聖なるパソラの地面に血がまき散
らされることで、
それによって米の豊穣が保証さ
れると信じられてきた。騎馬戦は儀式的なもので
はあるが、流血は免れず、死者が出ることも珍し
くない。
バックヤード・トラベルではパソラ祭の見
物ツアーも手配できる。
そしてその借金は、莫大な額になりえるという。
アンセルは私を車に乗せ、
中央スンバのアナカラ
ンにある島最大の墓へ連れていってくれた。
ウン
バ・サウォラと呼ばれるこの巨大石墓が作られて
ここに運ばれてきた年の間、
この地域の支配一
族は350頭の水牛だけでなく数多くの動物を
生贄として捧げた。最も大きな墓石は10頭のゾ
ウと同じくらいの重さがあると推定され、
3キロ
離れた石切り場からここまで運ぶために1000
人の労力が必要とされた。
ウンバ・サウォラ墓石は、
ストーンヘンジで最も大
きな石のおよそ3倍の重さがあり、動かすことなど
不可能に思える。巨大石墓への埋葬は石器時代
に世界各地で行われていたが、
スンバ島はそれが
現代まで続いている希少な場所だ。
スンバ島独特
の巨石文化は、人間が力を合わせれば不可能なこ
となどわずかしかないのだと思い出させてくれる。
結局のところ、
スンバ島の人々は何千年もの間、
山をも動かすような奇跡を成し遂げてきたのだ。
スンバ
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デンパサールからタンボラカ
飛行時間 1時間10分
運航便数 週7便
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