Garuda Indonesia Colours Magazine May 2019 | Page 170

Japanese Section / 安らぎのトギアン諸島 の下には浅瀬の海が広がっており、透明な水の 中で魚がサンゴの間を泳ぎ回っているのが見え るのだ。 橋の幅は狭く、 2台のバイクがぎりぎりすれ違 えるほどしかない。橋のたもとにはのんびりと座 っている人が何人か見え、涼しい午後の風を感 じながら、子供達が大はしゃぎで走り回るのを 眺めていた。 パパン島は、昔から水上で移動生活を送ること で知られるバジョ族が住む島のひとつだ。現在 では実際に移動生活をする人は少なくなった が、 サンゴ礁の上に高床式の家を建て、 海とつ ながりの深い暮らしをするのは変わっていな い。 話を続ける前に、 ひとつ注意書きを。 これほど人 里離れた楽園を訪れることの難点は、時に携帯 電話がつながらないだけでなく、基本的なサー ビスさえままならないところだ。 プンチャック・ バツ・カランの頂上にいたとき、電波を探そうと 携帯電話を高く掲げている人を何人か見かけ た。少し調べてみると、 この島には厳密に言え ば携帯電話の電波がないものの、丘の頂上ま で行けば電話が使えることを彼らは気付いてい たのだとわかった。 それでも電話をかけたり SNSをチェックしたりするのが限界だ。 とは言 え、 こんな楽園にネットフリックスは必要ない。 携帯電話の電波がないだけでなく、電気や水道 設備もない場所もあり、私が滞在したカトゥパ ット島のリゾートもそうだった。発電機で起こし た電気は午後5時から11時までしか使えなか った。 それ以外の時間は、島めぐりをしたり、 ハ ンモックに寝そべって本を読んだりして過ごし ていた。 もう一か所訪れる機会のあったマリオナ湖に は、刺さないクラゲがいた。捕食動物がいない クラゲのため、進化の過程でトゲがなくなって いるのだ。湖の中を覗き込んでいると、宇宙人で いっぱいの別世界を目にしているような気分に なった。 オレンジ、 白、透明のクラゲに取り囲ま れ、何千もの目に見つめられているかのようだ った。 五感: 視覚 マリオナ湖 刺さないクラゲがいる湖は世界に数えるほどし かなく、 マリオナ湖はそのひとつだ。湖からさほ ど離れていないカリナ・ビーチでは、 きれいな白 砂の上で採りたてのココナツを味わえる。 168 ツアーガイドに、 フリッパーを付けずに泳ぐよう にと念を押された。 クラゲは非常にもろく、 知ら ないうちに傷付けてしまうことがあるからだ。 ク ラゲの生息環境に悪影響を及ぼす恐れがある ため、 日焼け止めも塗らない方がいい。 クラゲに 触れなければ、 一緒に写真を撮ることができた。 マリオナ湖の後、私達は桟橋にボートを泊め、 次のダイビング・スポットへ向かう前にカリナ・