Garuda Indonesia Colours Magazine March 2015 | Page 197

Berastagi | ブラスタギ 195 触覚:シバヤク温泉 彼が連れて行ってくれたのはシピソ・ピソ滝で、 ホームステイから45分のところにあった。 「ナイ フ」 という意味を持つこの滝は、高さ120メート ルの崖からギザギザの絶壁を落ちることからそ う名付けられた。一度見ると心を奪われてしまう 光景だ。 おまけに滝の真向かいには、 インドネシ ア最大の湖であるトバ湖の北端が見える。 町へ戻る途中、私達はドカンとリンガという二つ の古い村に立ち寄った。 どちらもバタク・カロの 伝統を、今でも保っているところだ。彼らの文化 の最大の特徴は、 バタク・カロの建築様式だ。独 特の四角い形を傾斜のある面が囲み、 角をつけ た屋根があるという特徴的な家々が目立つ。屋 根につけられた水牛の角は、住む人を危険から 守り、悪霊を追い払うと信じられており、美しく 描かれた模様にもまたそれぞれに意味があるの だった。 カロ族の人々は生まれながらの職人であ り、 アーティストだ。確かに彼らが故郷と呼ぶ、 こ の素晴らしい自然から触発されずにはいられな い。 アブディの話では通常1軒の家に8家族が 住み、 それぞれの家族の間には仕切りがあるだ けなのだという。 私達はホームステイに戻り、 その日はもう休むこ とにした。町に戻ると火山灰は収まっていて、 ブ ラスタギを取り囲む緑の景色は薄い灰色で覆わ れていた。 2010年8月29日、 シナブン山は4 00年の休止期間をおいて大きな噴火を記録 し、 3万人の人々が避難を余儀なくされた。 それ 以降、断続的な噴火が25回以上続いている。火 山が噴火を続ける一方で、町に戻り再び生活を 始めたブラスタギの人々に畏敬の念を抱かずに はいられなかった。 翌日、 自然は私達にやさしくなっていた。 アブディ によると、風向きが変わって火山灰が町の向こう に吹き払われているのだという。 そのため私達は シナブン山まで車で向かい、安全なところまで歩 いて登って夕焼けを見ることにした。噴火の恐れ があってから24時間も経っていなかったが、私 達と同じく自然の贈りものを満喫しようと地元の 人々が大勢集まっていた。近年の噴火が、罪のな いブラスタギの人々を襲ったのは悲しく残念なこ とだ。 だがそれと同時に、素晴らしい回復力を見 せ、 ここでの生活を続けてきた彼らの姿にもま た、威厳のある山々と同じように心を動かすもの がある。 シバヤク山の頂上から朝日を見ることはできな かったとしても、温泉に行けばトレッキングや散 策をした一日の疲れを癒してリラックスすること ができる。地元の人々は高血圧や貧血、関節炎、 リウマチなど様々な病気の治療や緩和のため、 定期的に温泉に通っている。 ジャカルタからメダンへ 視覚:タマン・アラム・ルンビニ この寺はインドネシア最大の仏塔で、 そこまでの 道のりは少々険しいものの、行ってみる価値が十 分ある。仏塔の輝く金色と、青空やジャングルの 緑とのコントラストが実に美しい。 もともとはミャ ンマーのヤンゴンにある、 シュエダゴン・パゴダを 小さくしたレプリカとして建てられたものだ。 www.tamanalamlumbini.org 飛行時間 1時間55分 運航便数 週98便 • メダン • ブラスタギ