Garuda Indonesia Colours Magazine March 2015 | Page 196

194 Berastagi | ブラスタギ 約1300メートルの高地にあるブラスタギは、 スマトラ島の二つの活火山の間に位置する町 だ。北にはシバヤク山 (標高2212メートル) が そそり立ち、西にはさらに高いシナブン山 (標高 2460メートル) がそびえる。 その間にある肥沃 な火山丘陵には豊かな熱帯雨林と絵のように美 しい野原、 そして町があり、土地柄のおかげで一 年を通して涼しい気候に恵まれている。私の地 元メダンの人々にとって、 この町が週末の避暑地 として人気なのも当然だ。 オランダ人が入植する以前、 ここは稲作と米の 売買がさかんな地域として知られており、町の名 前になったブラスタギは地元の方言で 「米屋」 と いう意味だ。現在の市場では米だけでなくたくさ んのものが取引され、 ブラスタギは野菜と果物、 そして涼しい気候と肥沃な土地で育った花の生 産地として有名になっている。 ある週末、私はメダンから車に乗って、 いくつか の村と鬱蒼とした国有林を通り過ぎ、高地の中 心へと続いてゆく曲がりくねった坂を走ってい た。 その日の夜は、町の主要道路に面したブラス タギ・シティ・センターから徒歩10分のところに あるナシェル・ホームステイに宿をとっていた。 シ ョップハウス・スタイルの宿泊施設で、 メリーとア ブディという素敵な夫妻が経営している。客室や アメニティはシンプルだが、清潔で、 お湯をはじ め必要なものがすべて揃っているので快適だ。 私のブラスタギでのホスト兼ガイドを務めてくれ たアブディは、英語とフランス語とインドネシア 語が堪能であるのに加え、地元のカロという方 言も話すことができる。彼に連れられて屋上に出 ると、 シナブン山が堂々とそびえ立つ目を見張る ような景色が広がっていた。 しかし突然火山灰 を噴き上げるのが見え、私は思わず心配になっ た。 だがアブディが大きな噴火ではないからと言 って、安心させてくれた。活発な活火山のそばで の生活には、普通とは違う問題が伴う。彼は落ち 着いたまま私にマスクを手渡し、 火山灰が収まる まで町の外を探検しようと誘い出してくれた。